香港情勢 民主主義の骨抜きを許すまい

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 香港政府は、反体制活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)の施行を受けて、民主派への統制を加速させている。

 香港の自由と民主主義が骨抜きにされかねない。国際社会は、中国の動きを一段と警戒する必要がある。

 香港の9月の立法会(議会)選挙は延期され、親中派が多数派を占める議会構成は今後1年続く。議会の新会期が始まったが、当局の権力乱用をチェックする機能は期待できまい。

 中国はさらに香港政府に対し、国安法を補完する国家安全条例を制定するよう促している。議会の選挙で、親中派が多い中国本土在住の香港人が在外投票できる制度を導入する動きもある。

 親中派が議席を独占することになれば、香港議会は、共産党の決定を追認するだけの中国の国会と変わらない存在になろう。

 香港の林鄭月娥行政長官は、「香港に三権分立はない」と述べ、行政が議会や司法よりも優位にあるとの認識を示した。法の恣意しい的な運用を通じて、民主派勢力の抑え込みや報道の締め付けがさらに強まることが懸念される。

 国安法が施行される前は、香港住民は大規模デモを通じて、政府への不満を表明していた。今は摘発を恐れて自粛している。手詰まり感は否めない。

 民主派も、対中強硬派と穏健派の内部対立が露呈している。強硬派議員が選挙延期に抗議して辞職する一方、穏健派議員は留任し、議会で対抗する道を選んだ。

 住民の間では、民主派への失望やあきらめが広がり始めているという。香港の民主化運動は存亡の危機を迎えたと言える。

 国際社会が果たすべき役割は大きいはずだ。

 欧州連合(EU)と中国によるオンライン首脳会議で、メルケル独首相らEU側は、香港情勢に対する「重大な懸念」を習近平国家主席に伝えた。習氏は「中国は人権で『教師づら』する者を受け入れない」と反発したという。

 ドイツなど欧州諸国は中国との経済関係を重視してきたが、自由や民主主義などの価値観を巡る隔たりの拡大を受けて、対中政策を見直す動きが出ている。米国も香港への制裁を強化する方針だ。

 中国は、国際約束である香港の「一国二制度」の破壊に対する各国の批判の高まりを、真摯しんしに受け止めねばならない。

 日本は、価値観を共有する国々と共に、香港の現状を看過しない姿勢を表明し続けるべきだ。

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1552218 0 社説 2020/10/16 05:00:00 2020/10/16 05:00:00

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