非正規格差判決 企業は待遇のゆがみを正せ

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 正社員と非正規社員の待遇格差を正すにあたっては、仕事の難易度や責任の重さに応じて、個別に判断すべきだ。最高裁はそう結論づけた。

 非正規の契約社員らが退職金や各種手当を正社員と同じように認められないのは不当だ、と訴えた5件の訴訟の上告審判決が、相次いで言い渡された。

 退職金と賞与の支払いの妥当性が争われた二つの訴訟で、判決は原告の仕事が正社員と比べて簡易なうえ、配置転換もなく、職務内容には違いがあると指摘した。

 非正規から正規への登用制度もあるとして、「不支給でも不合理とは言えない」と判断した。

 退職金や賞与の趣旨や算定方法は、企業によって多様だ。最高裁は、経営側に一定の裁量を認め、原告らの状況を個別に検討した上で、結論を導いたのだろう。

 判決が、正規と非正規の格差を一律に容認したわけではないことは、きちんと認識すべきだ。

 賃金格差を巡る訴訟では、最高裁が2018年、「格差が不合理かどうかは、賃金の項目ごとに個別に判断すべきだ」とした。

 判決は今回、退職金や賞与にもこの考え方を当てはめた。退職金や賞与が支払われない場合、「不合理と認定されることもあり得る」と言及した意味は大きい。

 各企業は、賃金体系や待遇に関して、正規と非正規の差が許される範囲を逸脱していないか、実情を点検する必要がある。不合理な格差があれば、速やかに是正しなければならない。

 各地の郵便局で働く非正規の契約社員が、正社員に認められている各種手当の支給を求めた三つの訴訟では、年末年始の勤務手当や扶養手当などの不支給が、「不合理だ」と判断された。

 日本郵便は、約38万人の職員の約半数を非正規社員が占める。近年、非正規社員の労働条件の見直しを行っているが、さらなる改善が求められよう。

 国内の非正規雇用は2000万人を超え、雇用者全体の4割弱を占めている。賃金水準は正社員の6割程度にとどまる。正社員の仕事に就きたくても就けない若者や、家計を担う中高年も多い。待遇改善は喫緊の課題である。

 働き方改革関連法に盛り込まれた「同一労働同一賃金」制度は、4月から大企業に適用され、来年には中小企業にも拡大される。

 何をもって「同一労働」と見なすか、線引きは難しい。政府は指針を充実させるなど、分かりやすく説明してほしい。

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1552219 0 社説 2020/10/16 05:00:00 2020/10/16 05:00:00

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