債務猶予延長 途上国支援に透明性の確保を

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 新型コロナウイルスの流行で、途上国の財政悪化が深刻だ。世界経済の火種になりかねない。主要国は、協調して救済に努めねばなるまい。

 主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁は、アフリカのエチオピアやアジアのバングラデシュなど、所得が低い73か国への公的融資を対象に、返済猶予期限を2021年6月まで半年延長することで合意した。

 途上国は医療体制が脆弱ぜいじゃくで、衛生管理が行き届かないケースが多い。その対応のために財政支出が膨らみ、一部の国が、融資を返済できない債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が出ている。国際社会の支援が急務である。

 途上国のデフォルトが続けば、トルコやブラジルなど、規模の大きい新興国に信用不安が波及しかねない。すでに資金流出や通貨安に見舞われており、新興国の通貨危機に発展する恐れがある。

 そうした事態を防ぐため、G20が合意したのは妥当である。

 一方、国際協調による支援には透明性と公平性が不可欠だ。

 世界銀行によると、73か国に対して、G20の各国などが2国間で行った公的融資は1780億ドル(約19兆円)で、その約6割を中国が占めている。

 だが、中国は、途上国への貸し付けについて十分に情報開示していない。G20が把握できない「隠れ融資」も多いとされる。積極的に情報公開するべきだ。

 今回の猶予措置は、公的債務に関するもので、民間の金融機関は加わっていない。このため、中国は国家開発銀行の融資について、政府が100%出資するにもかかわらず、「民間取引」だと主張し、返済猶予を拒んでいる。

 中国以外の国の猶予措置で生じた途上国の資金が、中国への支払いに回されかねず、公平性を欠くことになろう。

 中国の途上国への巨額融資に対しては、借金漬けにして、返済の代わりに港湾施設の支配権など安全保障上の利益を得る「債務のわな」だとの批判がある。その懸念を払拭ふっしょくするためにも、支援の枠組みに協力することが重要だ。

 今後は、返済猶予にとどまらず、債務の減免が必要になる可能性がある。G20は、11月の首脳会議の前に財務相・中央銀行総裁による特別会合を開き、追加策について話し合うという。

 民間金融機関を含めた救済の仕組みなど、途上国を経済再建に導くための、実効性ある対策を検討してもらいたい。

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1564215 0 社説 2020/10/21 05:00:00 2020/10/21 05:00:00

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