東証へ立ち入り 問題を見落とした責任は重い

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 株式の取引が終日、停止される失態は二度とあってはならない。

 金融庁は、売買システムの障害を起こした東京証券取引所に対する立ち入り検査に着手した。

 検査に先立って、東証は金融庁に報告書を提出し、今月1日に取引の終日停止に至った経緯を明らかにしていた。

 金融庁はその内容を現地で検証する。今後、業務改善命令などの行政処分を検討するという。厳正に対処し、東証や証券界とともに再発防止に万全を期すべきだ。

 東証によると、銘柄や顧客に関するデータを収納する機器が故障したことが問題の発端だが、予備の機器へと自動で切り替わる機能が「オフ」になっていた。

 2010年のシステム導入時には、「オフ」でも15秒後に予備機に切り替わる仕組みだった。機器を製造した米社の仕様変更で、15年以降は「オン」でなければ作動しないようになった。

 ところが、システム全体を納入した富士通がマニュアルを改定しなかったため、東証は気づかず、「オフ」のままだったという。

 5年間も、バックアップ機能が働かない状態だったことは、異常と言わざるをえない。様々な条件でテストを繰り返していれば、把握できたのではないか。富士通の対応も問われよう。

 金融庁の検査と並行して、東証の親会社は、独立社外取締役で構成する独自の調査委員会を設け、原因の究明などを進めるという。再発を防ぐためには、責任の所在を明確にせねばならない。

 停止後の措置としては、手動で再起動するという方法があり、当日中の再開が可能だった。

 再起動すれば、すでに東証が受け付けた注文がリセットされる。東証が証券会社に処理できるかを聞くと、注文をキャンセルするか、再発注するかを顧客に確認する作業に手間がかかるため、難色を示す会社が多かったという。

 超高速取引の進歩で機器は複雑化している。障害抑止に努めつつ、トラブルの時に売買が継続できる危機管理策が重要である。

 それには、東証と証券会社の緊密な連携が不可欠となる。システム障害時に早期復旧できるよう、取引再開に関するルールの整備を急ぐことが必要だ。

 菅首相は、海外の優秀な金融人材を呼び込み、日本を国際金融センターとして発展させる構想を掲げている。それに水を差さないために、日本市場の国際的な信用を早期に取り戻すことが大切だ。

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1573571 0 社説 2020/10/24 05:00:00 2020/10/24 05:00:00

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