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核兵器禁止条約 安全保障の観点が欠けている

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 核兵器廃絶を目指す精神は尊ぶべきだ。だが、核抑止力が安全保障に果たす役割を無視し、「禁止」を一方的に迫る内容では、実効性に欠けると言わざるを得ない。

 核兵器の開発や保有、使用などを包括的に禁じる核兵器禁止条約が、制定から約3年を経て、発効に必要な50か国・地域の批准を集めた。条約の規定により、90日後の来年1月22日に発効する。

 米英仏中露の核保有国や、日韓など米国の同盟国は参加しておらず、条約には拘束されない。

 批准国は、中南米やアフリカなど核の脅威に直接さらされていない国が多い。核兵器が持つ重みについて、認識を共有するのは困難だ。地雷やクラスター弾の禁止条約と同列には論じられまい。

 条約の前文は、被爆者の苦しみに言及し、惨禍を繰り返さない決意を示している。核兵器の使用が人道上許されないという点には、議論の余地はない。

 一方、安全保障の観点から見れば、核保有国や、米国の「核の傘」を必要としている国の個別の安保環境を考慮していない点で、条約には致命的な欠陥がある。

 米国とロシアは、核戦力の均衡を通じて戦争を防ぐ枠組みを維持してきた。日本は、核保有国の中国、ロシアに近接し、北朝鮮の核の脅威に直面する中で、米国の核抑止力に依存している。ロシアと対峙たいじするドイツも同じ状況だ。

 米国の同盟国にとって、核使用の「威嚇」も禁止する条約の規定は、「核の傘」の信頼性の否定に等しい。日米安保体制や北大西洋条約機構(NATO)の根幹が揺らぐことになる。

 現実の脅威に適切に対処しながら、地道に核軍縮を前進させるというのが、日本の立場だ。禁止条約は受け入れられない。締約国会議のオブザーバー参加も、条約への賛成と受け取られる可能性があり、慎重に対処すべきだろう。

 日本は唯一の被爆国として核保有国と非保有国の対話を仲介し、亀裂を修復する必要がある。

 世界の核兵器の9割を持つ米露が核軍縮を進め、軍拡競争に歯止めをかけることが先決である。来年2月に失効する新戦略兵器削減条約(新START)の延長に向け、歩み寄りの動きが出ているのは多少なりとも明るい兆候だ。

 世界の大半の国が参加する核拡散防止条約(NPT)の役割も、高めねばならない。NPT脱退を宣言して核開発を続ける北朝鮮を非核化させることは、NPT体制の信頼回復への手立てとなる。

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1582925 0 社説 2020/10/28 05:00:00 2020/10/28 05:00:00

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