コメ価格下落 需給調整より生産性の向上を

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 需要動向を無視した価格維持政策は、「コメ離れ」を一層、加速させかねない。生産性の向上による農業の基盤強化の方が重要ではないか。

 農林水産省によると、新米が出回り始める9月の新米の相対取引価格(卸値)は、前年比で4%下がった。下落は6年ぶりだ。

 取引数量が最も多い新潟の「一般・コシヒカリ」や北海道の「ななつぼし」などのブランド米も軒並み安くなっている。

 消費者の間で進んでいる「コメ離れ」に加え、新型コロナウイルスの流行で、業務用の需要が低迷したことが要因だ。

 国やJAは、農家を守るため、価格の下落抑制に乗り出す意向だが、市場経済では一定の価格変動はやむを得ない。無理な下支え策は、なるべく避けるべきだ。

 1970年代に始まったコメの価格維持を図る生産調整(減反)制度は、2018年産から廃止された。それ以降は、主食用について国が全国の妥当な生産量を公表し、需給安定を目指している。

 21年産の妥当な生産量は690万トン前後と、20年産より約40万トン少ない水準となる見通しだ。農水省は、それを基に農家に生産の抑制を促していくという。

 JAグループは、20年産のコメ20万トンを保管し、販売を来年秋以降に先送りして値下がりを防ぐ方針だ。保管料は国が補助する。

 一方、コメの消費量は近年、毎年10万トン程度、減り続け、19年産は前年比で22万トンも落ち込んだ。食生活の多様化のほか、糖質の多いコメの摂取を制限する傾向も影響しているとみられる。

 需要が減退している中で値段が高止まりすれば、消費はさらに低迷する可能性がある。

 価格維持策としては、主食用米から飼料用米などへの転作を支援する制度もあり、助成の拡充を求める声が出ている。

 だが、補助金頼みの農家を増やすばかりでは、農業の活性化は望めない。需要を喚起する創意工夫や、効率的な経営を後押しする施策こそが大切である。

 外食やコンビニエンスストアなどでは、値段が安い業務用米へのニーズが根強い。営業努力で外食企業と長期契約を結び、経営を安定させた農業団体がある。

 大規模化や先端技術の活用などで生産性を上げ、安価でも採算が取れる農業を確立したい。

 香港やシンガポールなどアジア向け輸出は伸びている。価格競争力を高めれば、高品質のブランド米の輸出拡大も期待できよう。

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1593556 0 社説 2020/11/01 05:00:00 2020/11/01 05:00:00

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