大阪都構想否決 将来展望が見えにくかった

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 行政の枠組みを大きく変える改革が、地域の発展にどう結びつくのか。構想は、そうした効果や将来像を十分に示せなかったと言えよう。

 地域政党・大阪維新の会が推進してきた大阪都構想の賛否を問う2度目の住民投票は、再び反対が賛成を上回った。政令指定都市の大阪市を4特別区に分割して廃止し、広域行政は大阪府に移すという案は廃案となった。

 5年前の前回と同様に、市を二分する論戦が展開された。投票率は62・35%に上り、賛否は約1万7000票の僅差だった。

 大阪維新代表の松井一郎・大阪市長は記者会見で「私の力不足。十分に説明しきれなかった」と敗因を語った。市長の任期満了後、政界を引退する、と表明した。

 看板施策とリーダーを失う維新が今後、厳しい党運営を迫られることは間違いない。前回と異なり、自民、公明も反対と賛成に分かれて戦った。選挙協力など、国政への影響も注視する必要がある。

 維新は2011年以降、府知事と市長のポストを独占し、二重行政の解消に努めてきた。そのため「現状でも行政の効率化は可能ではないか」との声が聞かれた。

 新型コロナウイルスの流行で住民向け説明会は開催が限られた。産業の振興策や近隣府県との連携強化など、大阪の青写真が具体的に語られる機会は少なかった。市民は、都構想の必要性が理解しにくかったのではないか。

 それでも住民投票では、半数近くが賛成票を投じた。関西の地盤沈下が続く現状に変化を求めたのだろう。観光や飲食、中小の製造業など大阪の地場産業は、コロナ禍で大きな打撃を被っている。

 厳しい財政運営が見込まれる中で、5年後に迫った大阪・関西万博への準備も本格化する。

 府と市は、これまでにも増して連携を深め、効果的な施策を打ち出さねばならない。

 今回の投票結果を受けて、菅首相は「大都市制度の議論に一石を投じた。いろいろな議論をしていくことは大事だ」と述べた。

 1956年に制度化された政令市は、道府県との間で明確な役割分担ができていないという見方がある。読売新聞が実施した調査では、政令市を抱える道府県の知事と政令市長のうち、3割が「二重行政がある」と回答した。

 地域を牽引けんいんする大都市の活性化は、東京一極集中の打開にもつながる課題だろう。今回の論戦も踏まえ、行政や都市のあるべき姿を前向きに検討してもらいたい。

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1598421 0 社説 2020/11/03 05:00:00 2020/11/03 05:00:00

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