テレビ届け出 NHK自身の改革が本筋だ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 取り組むべきは、業務のスリム化と受信料の引き下げである。改革を先送りして、料金徴収の効率化を訴えても、国民の理解は得られまい。

 NHKは、総務省の有識者会議で、家庭や会社などに対して、テレビを設置しているかどうかを、NHKに届け出ることを義務化するよう要望した。

 契約していない人の氏名を、公益企業などに照会できるようにする制度の導入も求めた。ガスや電力の事業者から情報を得ることを想定しているとみられる。

 受信料徴収のための個別訪問にかかっている年約300億円の経費の削減が狙いだという。

 不払い世帯を減らして不公平感を是正するのは大切だが、届け出の義務化は唐突に過ぎる。国民から反発の声が出るのも、無理はない。真摯しんしに耳を傾けるべきだ。

 届け出を強制すれば、テレビの購入をためらう人が出かねない。若者に広がる「テレビ離れ」が加速し、結果として言論の多様性を損なうことにならないか。

 未契約者の氏名を特定する制度の導入にも問題がある。個人情報保護法では原則、本人の同意なしに第三者に情報提供はできない。不安を抱く国民は多かろう。

 民放は広告収入減に苦しむが、NHKは年約7000億円の安定した受信料収入を得ている。

 2017年の最高裁判決で、受信料制度が「合憲」とされたこともあり、受信料を支払う世帯の割合は16年度の79%から19年度には83%まで高まっている。

 その中で、強権的な徴収ばかりを急ぐ姿勢は認められない。NHKに求められているのは、公共放送の役割を明確化し、業務や組織をスリム化する改革である。

 イベント企画や物販などの子会社を抱え、グループ内に剰余金をため込んでいる。子会社のリストラは、ほとんど進んでいない。

 4月には、テレビ番組を放送と同時にインターネットに流す「NHKプラス」を本格的に始めた。さらに、ネット事業の費用を受信料収入の2・5%以内とする自主ルールの撤廃を提案している。

 肥大化路線であり、改革の方向性が間違っている。

 子会社再編などで、受信料の大幅な値下げを実現し、国民に利益を還元することが重要となる。その上で、受信料支払いの必要性を丁寧に説明するのが筋だ。

 民放に似た手法の娯楽番組より公共放送らしい良質な番組の提供に注力し、視聴者の信頼を高めていく努力も不可欠である。

無断転載・複製を禁じます
1600039 0 社説 2020/11/04 05:00:00 2020/11/04 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ