新卒採用 第二の就職氷河期をつくるな

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 新型コロナウイルス流行の影響で、企業の採用意欲が低下している。第二の就職氷河期を招かぬよう、官民が協力することが重要である。

 政府は、経団連など経済4団体に対し、学校卒業後3年は新卒扱いとして企業が積極的に若者を採用するよう要請した。田村厚生労働相ら4閣僚の連名で「意欲や能力を有する若者に機会を広く提供することが重要だ」と訴えた。

 新卒一括採用の慣行が根強い現状では、新卒時は若者が希望の仕事に就く好機だ。就職活動がうまくいかない場合に、新卒と同じ扱いで再挑戦できる機会が増えることは望ましい。

 政府はリーマン・ショック後の2010年から、雇用環境が悪化したことを受けて、既卒者でも3年以内は新卒と同様に扱うよう促してきた。トヨタ自動車などは、すでに門戸を広げている。

 その一方でコロナ禍が長引き、採用を絞り込む企業が相次いでいる。就職情報会社の調査によると、大学生の内定率は10月1日時点で88・7%だった。「売り手市場」とも呼ばれてきたこの5年で、最も低い水準にとどまっている。

 バブル経済崩壊後の1993年から2004年頃にかけて、各企業が新卒の採用を大きく減らし、就職氷河期と称された。この時期に学校を卒業した世代は、非正規雇用で働き、不安定な生活を強いられている人が多い。

 若者が将来展望を描けなければ、家庭を持つことも難しくなろう。社会にとって、少子化につながる重大な問題である。

 採用内定を取り消されるケースも目立つ。今春卒業の学生では9月末時点で201人に上った。取り消しは解雇に相当し、合理的な理由がなければ無効とされる。国は、監視の目を強めるべきだ。

 厚生労働省は、全国56か所の「新卒応援ハローワーク」に特別相談窓口を設けた。内定取り消しの回避や、新たな就職先の確保に取り組んでいる。

 働きやすい企業の情報を提供するため、厚労省は、過去3年間の離職率が20%以下などの要件を満たした企業を「ユースエール認定企業」としてインターネット上で公開している。優良な中小企業との接点を増やしたい。

 コロナ禍にあっても、業績が向上し、採用意欲の高い企業はあるだろう。若者は、企業の規模や知名度に目を奪われがちだが、人気企業には移り変わりがある。自らの適性を見極め、幅広い観点で就職先を考えてほしい。

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1602807 0 社説 2020/11/05 05:00:00 2020/11/05 05:00:00

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