米大統領選 混乱と対立を早期に収拾せよ

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 開票を巡る混乱が長期化し、政治空白が生じれば、悪影響は世界全体に及びかねない。公正な手続きを進め、迅速に勝敗を決してもらいたい。

 米大統領選で、共和党のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が接戦を展開し、投票日から一夜明けても勝者が決まらない状態が続いている。

 郵便投票など期日前投票を行う有権者が過去最多の規模となり、開票作業に時間がかかっているのが一因だ。新型コロナウイルスの感染拡大という異例の事態下の選挙を象徴していると言える。

 郵便投票について、民主党支持者が積極的に活用する傾向が目立つのに対し、トランプ氏は不正の可能性を提起してきた。勝敗を左右する接戦州の結果が不透明なのに、一方的に勝利をアピールし、開票の打ち切りを要求した。

 投票用紙の偽造や、なりすまし投票など、不正の具体的な根拠は示されていない。大統領が自ら、選挙の正当性を否定する言動は、米国の権威を落とすだけだ。

 今回の選挙は、トランプ氏に対する事実上の信任投票だった。

 この4年間、トランプ氏はツイッターによる宣伝活動を重視し、「米国を再び偉大にする」というスローガンの実現を強調してきた。民主党や、自らに批判的なメディアへの敵意をあおり、熱狂的支持につなげる独特の手法だ。

 その結果、支持層と反対派の溝は、かつてなく深まった。選挙後の暴動や騒乱を恐れて、首都ワシントンをはじめ各地で警備体制が強められているのは、民主主義の大国とは思えない事態である。

 バイデン氏は、「分断を生む大統領に終わりを告げよう」と唱えた。トランプ氏の資質の欠如は、コロナ軽視の政策で明白になったとも訴えている。どちらが勝っても、溝の修復は容易ではない。

 過去の大統領選では、敗者が開票結果を認め、勝者への協力を国民に呼びかけることが伝統となってきた。だが、トランプ氏が今後の開票結果で敗北が明白になった場合でも受け入れないシナリオが現実となりつつある。

 大統領選の勝者は、得票総数でなく、州ごとの勝敗で決まるため、接戦州の結果が変われば逆転する可能性がある。大統領と司法の判断で選挙が左右されるのは、国の根幹に関わる問題ではないか。

 コロナ対策や経済の再生策など、喫緊の課題は山積している。不毛な法廷闘争で時間を空費している余裕はない。敗者は潔く結果を受け入れねばならない。

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1602808 0 社説 2020/11/05 05:00:00 2020/11/05 05:00:00

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