米大統領選 正当な開票に疑義は挟めない

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 厳正な開票と集計作業を経て示された民意を尊重しなければ、選挙の意義は失われてしまう。米国の民主主義の真価が、まさに問われている。

 米大統領選で、民主党候補のバイデン前副大統領が、当選に必要な270人の選挙人を獲得する勢いとなっている。バイデン氏は「集計が完了すれば、私が勝利するのは明らかだ」と強調した。

 これに対し、共和党のトランプ大統領は、いくつかの接戦州で自らが優勢だったのに、郵便投票が加わって覆されたとし、「不正が行われた」と主張した。具体的な根拠は示していない。

 トランプ氏の陣営は、郵便投票の開票作業を見守る監視員の活動が不当に制限されたとして、接戦州での集計作業の一時停止を求める訴訟を起こしている。

 トランプ氏はかねて「郵便投票は不正の温床」との持論を展開してきた。敗北が濃厚になったことを受けて、郵便投票の有効性を巡る法廷闘争に持ち込み、選挙結果を覆そうとしているのだろう。

 トランプ氏がミシガンやウィスコンシンなどの接戦州で開票序盤のリードを逆転されたのは、終盤になって民主党支持層に多い郵便投票の集計結果が出たからだ。

 郵便投票は、封筒から投票用紙を取り出したり、本人確認をしたりする分、開票と集計が遅れざるを得ない。だが、投票所での新型コロナウイルスの感染拡大を防止する策として、郵便投票が有効だったのは確かだ。

 作業に時間がかかっても、正当に投じられた票を全て集計するのが民主選挙の基本である。大統領であっても、異論を挟む余地はないのではないか。

 前回の大統領選も、今回のような激戦となり、トランプ氏がほぼ全ての接戦州を僅差で制して番狂わせの当選を果たした。民主党候補のヒラリー・クリントン氏は、敗北が伝えられた直後にトランプ氏に祝福の電話を入れた。

 トランプ氏の態度は、こうした大統領選の伝統に反するものだ。法廷闘争の長期化と政治の空白は、国際政治と世界経済の不安定化を招く恐れがある。自らの責務の重さを認識してもらいたい。

 2000年の大統領選では、フロリダ州での集計を巡る争いが連邦最高裁まで持ち込まれ、決着するまでに1か月以上を要した。結果的に、司法の判断で大統領が決まったことに、米国の内外から強い批判が集まった。

 不毛の法廷闘争の苦い歴史を、繰り返してはならない。

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1608358 0 社説 2020/11/07 05:00:00 2020/11/07 05:00:00

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