デジタル化推進 高齢者への目配りが不可欠だ

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 社会のデジタル化の目的は、国民全体の暮らしをより便利にすることにある。デジタル機器を使いこなせるかどうかで、新たな格差を生むことがあってはならない。

 コロナ禍の下では、1人10万円の特別定額給付金のオンライン申請を巡り、混乱が生じるなど、日本のデジタル化の遅れが露呈した。菅政権はデジタル化の推進を政策の柱に位置づけている。

 実現には、国民が広くパソコンやスマートフォン、インターネットなどを活用し、デジタルを通じたサービスの利便性を実感できることが前提となる。とりわけ大切なのは、デジタル機器に不慣れな高齢者への配慮である。

 総務省の調査によると、65歳以上のネット利用者の割合は他の年代より小さい。利用者であっても約半数は頻度が低く、使いこなせていないという。

 日常生活でデジタル機器を使う必要を感じない人がいる一方、利用法について周囲に相談できる相手がいない人も多いのではないか。家族が離れて住んでいて、気軽に聞けない人もいるだろう。

 こうした人たちを置き去りにしない取り組みが重要だ。

 総務省は今秋、「デジタル活用支援員」が高齢者らに、デジタル機器の操作や、行政などのデジタルサービスの利用法を教える実証事業を全国11か所で始めた。

 松山市では、市やシルバー人材センターなどが連携して10人の支援員を養成し、趣味や健康など生活密着型のスマホのアプリの使い方も重点的に教えている。

 デジタル機器に日常的に触れて便利さを実感することにより、行政のデジタルサービスの利用が広まることが期待される。

 政府は、参加者の意見も踏まえて、習熟度に応じた指導法を整えてもらいたい。高齢者らが必要に応じて、電話や自宅などの身近な場所で気軽にアドバイスを受けられる仕組みが望ましい。

 事業を本格的に展開するには、国や自治体の財政支援や関与の増大が不可欠だ。経済的理由でデジタル機器を買えない人への援助も検討課題となろう。

 高齢者の利用が増えても、行政のサービス自体が使いにくいようでは本末転倒である。

 ネット上で手続きを行う際の画面表示や、必要な情報を探す際の操作方法などについて、利用者の目線に立って、使い勝手が良くなるよう改善を重ねていくべきだ。システムの安定や個人情報保護にも万全を期さねばならない。

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1616338 0 社説 2020/11/11 05:00:00 2020/11/11 05:00:00

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