女川原発同意 再稼働の歩みを着実に進めよ

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 東北電力女川原子力発電所が再稼働に大きく近づいた。政府は他の原発についても、安全性を確認しながら、一歩ずつ再稼働を進めるべきだ。

 宮城県の村井嘉浩知事は、地元の女川町長、石巻市長との3者会談に臨み、女川原発2号機の再稼働に同意する考えを表明した。県議会や市町議会などの意向も踏まえ、丁寧に意見を集約したことは、評価に値しよう。

 東北電力は、安全工事が終わる2022年度以降の再稼働を目指す。地元の同意を得たのは、東日本大震災の被災地では初めてだ。電力を安定的に供給するという観点でも、意義は小さくない。

 女川原発は震災後、様々な安全対策を講じてきた。海抜29メートルの防潮堤を造り、電源車の配備や耐震工事も進めている。これらの積み重ねが認められ、原子力規制委員会の安全審査に合格した。

 ただ、原発周辺のリアス式海岸では、狭く曲がりくねった道路が多い。万一、事故が起きた場合、円滑に避難できるか不安に感じる住民もいるという。国は自治体と協力し、避難対策の改善を続けていくことが大切だ。

 菅首相は、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げた。太陽光などの再生可能エネルギーは、出力が安定しないという弱点がある。二酸化炭素を排出せず、電力を安定供給できる原発の重要性は増している。

 その一方、原発の再稼働は、18年6月の玄海原発4号機(佐賀県)以来、途絶えている。東京電力福島第一原発事故後、廃炉が決まったものを除く33基のうち、再稼働にこぎ着けたのは9基のみだ。

 柏崎刈羽原発(新潟県)や日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)は、規制委の安全審査を通過したものの、地元の同意を得られるめどが立っていない。

 女川原発は、福島第一原発と同程度の津波に見舞われたが、敷地が海抜14・8メートルの高さだったため、主要施設は浸水を免れた。津波で家を失った住民が敷地内で避難生活を送った時期もある。

 こうした経緯もあり、原発は住民生活や地元経済に欠かせない存在になっていた。他の原発についても、再稼働に向けて、住民の理解を得るための地道な取り組みを続ける必要がある。

 海外では、原子力技術を積極的に活用し、最新式小型炉などの開発にも余念がない。日本は、原子力を温暖化対策や産業競争力強化の有効な手段ととらえ、戦略的に活用していく姿勢が重要だ。

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1619358 0 社説 2020/11/12 05:00:00 2020/11/12 05:00:00

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