会計検査院報告 公金を扱う意識が足りない

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 相変わらず、税金の無駄遣いや不適切な処理がなくならない。厳しい財政状況の中、各省庁は危機感を持って予算執行にあたらねばなるまい。

 会計検査院が昨年度の決算検査報告をまとめた。省庁による税金の無駄遣いなど、改善が必要な事業は248件、計297億円に上ると指摘した。

 京都大の霊長類研究所では、研究用の物品購入や施設工事を巡って、2015年度までの5年間に11億円の不適切な支出があった。特定業者との架空取引や、入札情報の漏えいが行われていた。

 佐賀大では、14年に3億円で導入した医療情報システムが、全く使えない状態だった。連携する他大学との調整を、担当者が怠るなどしたためだという。あまりにお粗末ではないか。

 菅政権では、デジタル化の推進を掲げている。システムの導入ではこうした無駄が起きやすい。検査院には、今後もしっかりと目を光らせてもらいたい。

 杜撰ずさんな事業運営も判明した。

 燃料電池車に燃料を供給する水素ステーションを自治体などが整備する事業では、再生可能エネルギーだけで稼働させるという条件を全27施設の6割超が守っていなかった。環境省は19億円を補助していたが、事業は中止された。

 審査や完成後の確認に加え、計画自体も甘かったと言えよう。

 国が支援する製油所の耐震化工事では、石油元売り6社の12施設で揺れの想定が不十分で、追加対策の検討を迫られている。液状化の危険性があるのに、地盤が強化されなかった例もある。

 東日本大震災では、製油所が被災し、ガソリン不足が生じた。南海トラフ地震や首都直下地震に備えるという、目的や効果への認識が欠けているのではないか。

 コロナ禍で、今回の検査は大きな制約を受けた。緊急事態宣言が解除された後も、職員が現地に赴く実地検査は限定的にしか行えなかった。感染拡大の収束が見通せない中、今後は書面検査を充実させ、効率的に実施すべきだ。

 新型コロナ対策では、各省庁や自治体が経済対策や生活支援を掲げ、多くの事業を進めている。

 東日本大震災の際には、復興支援の名目で、被災地とあまり関係のない事業にも国費が投じられたケースも見受けられた。

 コロナ対策費は巨額である。必要な人に迅速に支援を届けるのは当然だが、不正や無駄な支出は許されない。各省庁は、事業の適否を慎重に見極めねばならない。

無断転載・複製を禁じます
1628674 0 社説 2020/11/16 05:00:00 2020/11/16 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ