米国の経済政策 保護主義との決別に舵を切れ

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 米大統領選で、民主党のバイデン前副大統領の勝利が確実となり、米国の経済政策も大きな転換が予想されている。

 「米国第一」主義から脱し、経済分野でも世界のリーダーの役割を果たしてほしい。世界経済の牽引けんいんに向け、まず取り組むべきは、新型コロナウイルスの流行で落ち込んだ自国経済の立て直しである。

 感染が再拡大する中、バイデン氏は勝利宣言で、「ウイルスを制御し、繁栄を築く」と述べた。

 コロナ禍を軽視したトランプ政権の姿勢を改め、科学的な分析を通じて、感染防止と経済活動を両立させることが望ましい。

 そのために、追加経済対策の取りまとめが不可欠だ。

 バイデン氏は、財政出動を重視する「大きな政府」を志向している。4年間で2兆ドル(約210兆円)規模の環境・インフラ投資を行う計画で、財源は大企業や富裕層への増税で賄うという。

 野党となる共和党は「大きな政府」に反対の立場だ。議会上院は共和党が過半数を占める「ねじれ議会」となる可能性があり、民主党案の実現は見通せていない。36年の上院議員経験を生かしたバイデン氏の調整力が問われよう。

 環境政策は、日本への影響が大きい。トランプ氏と違い、バイデン氏は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰し、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及に力を注ぐ方針だ。

 日本の産業界は、これが好機となるよう、水素利用などの技術開発やEV戦略を強化すべきだ。

 菅首相は、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げた。政府は米国とも連携しつつ、実現への具体策を早期に作る必要がある。

 通商政策は、保護主義との決別にかじを切れるかどうかが焦点だ。トランプ氏は多国間交渉を嫌い、2国間の制裁関税を取引材料とした。バイデン氏はこれを批判しており、見直す公算が大きい。

 ただ、国内の雇用や産業を優先する方向は維持するとみられ、民主党のオバマ政権が主導していた環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰は、なお不透明だ。

 知的財産権の侵害など中国との通商問題には、同盟国と協力して対処する意向だという。そのためにも、中国への牽制を狙ったTPPは有用であろう。政府は復帰を強く働きかけてもらいたい。

 多国間協調を取り戻すため、世界貿易機関(WTO)の改革に米国と取り組むことも大切だ。

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1628675 0 社説 2020/11/16 05:00:00 2020/11/16 05:00:00

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