宇宙船打ち上げ 民間開発の時代が到来した

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 民間による宇宙開発が加速してきた。米露などの政府が主導する開発は転換期を迎えている。日本は好機と捉え、存在感を発揮してほしい。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一宇宙飛行士が、米スペースX社の宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)に向けて出発した。この民間宇宙船は初の本格飛行で、米国人以外の搭乗は野口さんが初めてだ。

 米スペースシャトルは2003年に事故を起こした。野口さんは、再開後のフライトに参加した。09年には、ロシアの宇宙船ソユーズにも搭乗している。

 こうした実績や技能が、米航空宇宙局(NASA)に評価されたのだろう。3種類の宇宙船に乗った飛行士は、米国でも珍しい。ISSでは、医学実験や超小型衛星の放出などに取り組むという。

 日本はこれまで、7人の飛行士をISSに長期滞在させ、実験棟「きぼう」を建設するなど大きな貢献をしてきた。国際宇宙開発の枠組みの中で役割を着実に果たしてきたことも、今回の搭乗につながったと言えよう。

 スペースXは打ち上げたロケットを帰還させ、再利用するという難しい技術に挑み、費用の大幅削減に成功してきた。シャトル退役後、民間の活用を図る米政府の後押しもあって急成長している。

 技術革新が進まない近年の日本にとって見習うべき点が多い。

 ロケット技術だけでなく、宇宙船の内装や、宇宙服のデザインも斬新で目を引く。古い伝統を塗り替え、一般人の宇宙旅行も夢ではないと予感させてくれる。

 米国は、20年代後半にも月面に人が滞在できる基地を建設する「アルテミス計画」を打ち出している。日本もすでに参加を決めた。精密な着陸技術など、日本が得意とする分野で積極的に関与していくことが重要だろう。

 米国は、女性宇宙飛行士を月面に立たせたい考えだという。日本は21年から、新たな宇宙飛行士の募集を始める計画だ。初めて月に降り立つ日本人を目指し、多くの若手に挑戦してもらいたい。

 月の地中にあると考えられている水資源は、月面基地の生活に使えるほか、酸素と水素に分解して火星に行くロケットの燃料にすることも想定される。中国は独自に開発を進める方針で、資源獲得競争が勃発する懸念もある。

 そうした事態を防ぐよう、日本は米国などとの協調を強めてほしい。新時代の宇宙開発には、野口さんらの経験が生きるはずだ。

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1631430 0 社説 2020/11/17 05:00:00 2020/11/17 05:00:00

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