GDP大幅増 本格的な回復にはまだ遠い

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 新型コロナウイルスの感染拡大で急激に落ち込んだ経済が、持ち直し始めた。だが、再流行など懸念材料は多い。政府は雇用の下支えと経済の底上げに万全を期してほしい。

 7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で21・4%増だった。伸び率は、比較可能な1980年以降で最大だ。個人消費と輸出が前期比で大きく改善したという。

 緊急事態宣言などで経済活動が停滞し、戦後最悪の下落率となった前期の反動という側面が大きい。GDPの実額は、減少分の半分強を取り戻したにすぎない。

 政府は厳しい現状を再認識し、感染防止と経済再生の両立に努めなければならない。

 GDPの5割以上を占める個人消費は、前期比で4・7%増えた。1人10万円の特別定額給付金の効果などで、家電の販売が好調だった。旅行や外食などのサービス消費も復調しつつあるという。

 輸出は、自動車や電子部品などが伸び、7・0%増となった。一足早く景気が回復した中国向けのほか、欧米向けも上向いた。

 一方、企業や家計の心理は冷え込んだままだ。設備投資は3・4%減と低迷が続いている。個人にとって大きな出費となる住宅投資は、7・9%の下落だ。

 今後も、消費や輸出の回復が順調に続くとは考えにくい。

 国内の感染者数は増加傾向にあり、サービス消費に悪影響を与えそうだ。企業の冬のボーナスは減る見通しで、雇用悪化も心配されており、消費には逆風となる。

 欧米で感染が再び増え、一部に外出制限の動きが出ているため、輸出の先行きも不透明だ。

 国民の不安を軽減する施策が急がれる。政府は第3次補正予算案を編成中だ。休業手当の一部を補助する雇用調整助成金について、上限引き上げなどの特例措置を延長し、雇用の安定を図りたい。

 航空会社などで、他企業に社員を出向させる動きがある。一時的に雇用が余剰となった企業と、人手不足の企業を引き合わせる取り組みを広げることが望ましい。

 経済の実力である潜在成長率を高めることが重要だ。環境分野を成長の起爆剤にできないか。

 菅首相は、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする方針を掲げた。欧州に加え、米国も温暖化対策を強化する方向だ。

 政府は早期に具体策を示し、企業の投資を促すべきである。官民一体で、水素利用や蓄電池などの技術革新に挑んでもらいたい。

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1634171 0 社説 2020/11/18 05:00:00 2020/11/18 05:00:00

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