住所の漏洩 DV被害者への意識が乏しい

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 家庭内暴力(DV)やストーカーの被害者が、加害者に住所を知られれば、命にかかわりかねない。自治体は漏洩ろうえい防止に万全を期すべきだ。

 総務省によると、市区町村のミスで、DV被害者らの住所を加害者に漏らした事例が、この10年間で63件あった。近年増えており、昨年度は18件に上っている。

 全国の市区町村は2004年以降、被害者から申請があれば、住民票や戸籍付票の閲覧・交付を、加害者には認めない措置をとっている。申請が認められた被害者は約13万8000人に上っており、10年前の約4倍に増えた。

 漏洩でDV加害者の元夫に住所を知られた女性は、本紙の取材に「いつ元夫が現れるかと、生きた心地がしなかった」と語っている。その恐怖はいかばかりか。

 12年には、神奈川県逗子市が、ストーカーの被害女性の住所を加害者側に漏らした翌日、女性が殺害される事件が起きた。

 住所の漏洩は、被害者の身の安全を脅かすこともある。加害者に住所を知られ、転居を余儀なくされた人もいる。市区町村は、被害者の個人情報を扱う重みを、改めて自覚してもらいたい。

 総務省は14年から6回にわたって、被害者の個人情報管理の徹底を求める通達を市区町村に出した。情報管理の責任者を置き、閲覧・交付の申請時に複数の目でチェックすることなどを指導してきたが、なお漏洩はやまない。

 申請者の本人確認を怠るなどの単純ミスが目立つという。危機意識が薄い自治体も多いのではないか。国や都道府県は、市区町村の取り組み状況を調査し、不備があれば、改善を指導してほしい。

 最近は、住民票や戸籍付票のほかに、課税に関する証明書や児童手当の書類から、住所が漏れる例が増えている。被害者の個人情報を扱う全ての部署が、漏洩防止に取り組まねばならない。

 市区町村の職員は、数年ごとに異動する。交代時には、十分な引き継ぎが不可欠だ。都道府県が、市区町村の担当者を集めて研修を行うことも有効だろう。

 多くの市区町村が、住民基本台帳システムの端末に、被害者であることが一目で分かる表示が出るようにしている。一方、被害者の個人情報を書類で管理している自治体もあるという。

 国は5年後をめどに、自治体の情報システムの見直しを進める方針だ。これを機に、人為ミスによる漏洩をできる限り排除できる仕組みを構築することが重要だ。

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1640180 0 社説 2020/11/20 05:00:00 2020/11/20 05:00:00

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