温室ガスゼロ 技術革新の加速が鍵を握る

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 目標を掲げることは大事だが、肝心なのは実効性ある具体策だ。道筋を明確に示し、経済成長につなげたい。

 菅首相が、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする方針を表明したことを受け、政府は、実現への実行計画を年内に策定するという。

 世界で「実質ゼロ」を打ち出す動きが広がっている。日本も対策で後れを取ってはならない。

 だが、実現は容易ではない。日本の温室効果ガスの排出量は18年度に約12億トンとなり、13年度から12%減っただけだ。政府は30年度も約10億トンと見込んでいる。

 現在、二酸化炭素(CO2)排出量の4割程度は、天然ガスや石炭などの化石燃料による火力発電が占めている。火力の抑制には、再生可能エネルギーと原子力発電を最大限活用するほかない。

 日本より先に排出を実質ゼロとすることを宣言した欧州連合(EU)は、50年に発電量に占める再生エネの割合を81~85%、原子力を12~15%と想定している。

 再生エネを増やすには、欧州より割高なコストの引き下げと、不安定な出力を調整できる大容量蓄電池の開発が鍵を握っている。

 原発では、国民の信頼を取り戻し、再稼働に地元の理解を広げていくことが国の責務となる。新増設の論議や安全性の高い小型炉の開発も進めていきたい。

 さらに、画期的な新技術の開発と普及が不可欠となろう。

 燃やしてもCO2を排出しない水素の活用が期待されている。

 液化して貯蔵でき、燃料電池車(FCV)のほか製鉄の工程で石炭の代わりに使える。発電への利用も可能だ。トヨタ自動車が14年に世界で初の量産型FCVを発売するなど、日本の水素技術は、世界で優位にあるとされる。

 課題は水素を供給するインフラの整備と低コスト化だ。政府の重点的な支援策が望まれる。

 CO2を回収・再利用する「カーボンリサイクル」の実用化も、実質ゼロに向けて必要だ。

 過去に、日本企業は環境分野で世界をリードしてきた。1970年代、米国の排ガス規制を米自動車大手に先んじてクリアしたのはホンダだ。石油危機の後には、自動車や家電各社が製品の省エネ性能を世界最高水準に高めた。

 今回も、地球温暖化対策を成長の好機ととらえることが大切だ。政府の計画が明確になれば、企業は投資しやすくなる。官民で、経済成長を後押しする技術革新を加速させることが重要である。

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1643011 0 社説 2020/11/21 05:00:00 2020/11/21 05:00:00

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