はやぶさ2帰還 世界に誇る探査技術を磨け

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 宇宙を旅した小さな機体が6年ぶりに地球に戻ってきた。世界に誇れる偉業と言えよう。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人探査機「はやぶさ2」のカプセルが豪州の砂漠に着地した。小惑星「リュウグウ」の石や砂が入っているとみられる。2010年の初代はやぶさに続く快挙だ。

 カプセルは回収して日本に送り、中に入っているサンプルを分析する。小惑星の性質が明らかになり、太陽系の成り立ちを解明するのにも役立つという。各国とサンプルを共有し、今後の科学研究に大いに活用してほしい。

 小惑星への1回目の着地で地表のサンプルを採取した後、金属弾を撃ち込んで作ったクレーター付近に2度目の着地をした。地中の試料を採った価値は高い。こうした作業を成功させたのは、日本の優れた技術力の証しである。

 最初の着地でサンプルが確保できたと見込まれたため、JAXA内部では「無理して2度目の着地をする必要はない」という意見もあった。積極性を失わず、冷静に分析したうえで再着地に挑んだチームの姿勢は称賛に値する。

 決して条件が良かったわけではない。リュウグウは予想と異なり岩だらけで、安全に着地できる平地がほとんどなかった。JAXAのチームは岩が少ない場所を探し出し、正確に着地させた。

 初代はやぶさは、主力のエンジンが故障するなど綱渡りの状態で地球に戻った。満身創痍そういの姿が感動を呼び、映画化されるなどブームを巻き起こしたが、技術的には課題が多く残ったという。

 この教訓をもとに、はやぶさ2では万全の準備を行い、トラブルとはほぼ無縁だった。初代はやぶさが地球の大気圏に突入して燃え尽きたのとは対照的に、今回はカプセル分離後、余った燃料で再び新たな小惑星探査に出発した。

 世界をリードする米航空宇宙局(NASA)は10月、米国版はやぶさを小惑星ベンヌに着地させ、日本の後を追う形だ。「宇宙強国」を目指す中国も12月、探査機「嫦娥5号」を月に着陸させ、土壌サンプルの回収を目指している。

 宇宙開発は民間企業の力も借りた新時代に入っている。将来、各国が資源開発を狙う月面探査では、利用価値が高い特定の場所への精密な着陸技術が求められる場面が出てくるのではないか。

 日本は、今後も無人機探査を継続することで、これまで培った技術に磨きをかけ、次世代の若手を育てていかなければならない。

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1681108 0 社説 2020/12/07 05:00:00 2020/12/07 05:00:00

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