GoTo停止 感染抑止優先で安心を与えよ
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新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、観光支援策の一時停止を決断したのは当然だ。政府は混乱を広げぬように努めるとともに、感染抑止に万全を期さねばならない。
菅首相が「Go To トラベル」事業の見直しを表明した。28日から来年1月11日まで、全国一斉に事業を停止するという。
今月27日までは、東京都と名古屋市を目的地とする旅行を補助の対象から除外し、出発については、2地域ともに自粛を求めた。札幌、大阪の両市への旅行に関しては、停止期間の延長を決めた。
新型コロナの新規感染者数は、過去最多の水準にある。重症者や死者の増加にも歯止めがかかっていない。政府の新型コロナ感染症対策分科会は再三、事業の停止を政府に求めてきた。
こうした状況を考慮しての停止判断だろう。首相は感染防止を優先させるという強い姿勢を示し、国民に安心感を与えることが重要である。それが、中長期的には経済の回復につながるはずだ。
年末年始に帰省や旅行を予定している人は多い。だが、感染拡大を抑えるためには、人の移動や接触の機会を減らす必要がある。
今後、予約のキャンセルが相次ぐ事態も想定される。政府は事業者と連携し、円滑に手続きができるように注意を払ってほしい。
分科会は、忘年会や新年会を少人数で行うよう呼びかけた。初詣は混雑する時期を避けることや、帰省への慎重な対応を求めた。
国が専門家や自治体と認識を共有し、国民に丁寧に説明して理解を得ることが大切だ。
感染拡大地域の医療提供体制は、深刻さを増している。
政府は自治体の要請に基づき、北海道旭川市と大阪府に自衛隊の看護官を派遣した。ただ、看護官は通常、全国各地の自衛隊病院でコロナ患者などの治療にあたっている。活用には限界があろう。
厚生労働省は、高齢の患者に入院を求める措置を改め、病床が
医療従事者が抱えている負担は大きい。手厚い支援が急務だ。
多くの都道府県が、飲食店などに営業時間の短縮を呼びかけ、事業者に協力金を支給している。
首相は、1か月あたりの上限を120万円に増額する支援策を発表した。これ以上の感染拡大を防ぐには、行政と民間が一層協力することが不可欠である。