読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

デジタル教科書 紙との二者択一は誤っている

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 教科書のデジタル化に不安を感じている教員や保護者は多い。なぜこれほどまでに結論を急ぐのか、理解に苦しむ。

 文部科学省がデジタル教科書の使用を制限する基準の撤廃を決め、有識者会議も了承した。現在は「授業時間数の2分の1未満」だが、早ければ来年度から、デジタル教科書を無制限に使えるようになるという。

 デジタル教科書は、昨年度から紙の教科書と併用できるようになった。2分の1基準は、子供の健康面に配慮して設けられた。

 文科省は基準の撤廃にあたり、目を定期的に休ませるなどの対策を挙げた。本当にそれで大丈夫なのか。十分な検証もせず、唐突に方針転換した印象が否めない。

 有識者会議ではこれまで、小学校や中学校の校長会が紙の教科書との併用を求めたり、基準の撤廃に懸念を表明したりしていた。

 教員が扱いに不慣れなうえ、保護者もネット依存などの問題を心配しているという。現場が不安を抱えた状況で、あまりに拙速である。子供の発達に応じ、学年や教科ごとにきめ細かく使い方を検討するのがあるべき姿だろう。

 現在、デジタル教科書を使っている公立小中高校は、1割に満たない。文科省は2019年末、全小中学生に端末を配布する構想を打ち出した。消費増税後の経済対策の側面もあったとされる。

 23年度までに配布する計画は、コロナ禍で20年度中に前倒しされた。菅首相が「デジタル化」を掲げたこともあり、一気に積極活用へと傾いた。子供の将来にかかわる教育分野で、紙かデジタルかの二者択一は間違っている。

 紙とデジタルの特性を、それぞれ生かすことが大切だ。現在、デジタルは紙と同じ内容だが、将来は動画や音声も使えるようになるだろう。紙を基本に、デジタルは学習効果を高める補完的な役割として、相乗効果を図るべきだ。

 そもそも、何のために教科書をデジタル化するのかが明確ではない。本を読み、文章を書き、物を考える力を養うという教育の基本が、おろそかになりはしないか。十分な議論が不可欠である。

 端末の更新にかかる巨額の費用を誰が負担するのか、十分な通信環境が確保できるのかなど、課題も山積している。海外では、学習効果が疑問視され、デジタルから紙に戻した学校もあるという。

 重要なのは紙とデジタルの選択ではなく、教科書を使って何を教えるかだ。デジタル化を急ぐあまり、本質を忘れてはならない。

無断転載・複製を禁じます
1721252 0 社説 2020/12/23 05:00:00 2020/12/23 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)