読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

建設石綿訴訟 被害者救済の制度拡充を急げ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 アスベスト(石綿)の危険性を認識しながら対策を怠り、被害を拡大させた国の責任は重い。被害者を救済する制度を早急に拡充すべきだ。

 建設現場で石綿を吸い込み、中皮腫や肺がんになった元労働者らが、国と建材メーカーに損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁が国の上告を退けた。国に賠償を命じた東京高裁の判断が確定した。

 東京高裁は、国が遅くとも1975年には防じんマスクの着用などを義務づけるべきだったのに、規制を怠ったと認定した。個人で仕事を請け負う「一人親方」も、救済の対象に含めた。

 同種の訴訟は、全国で22件起きている。これまでの1、2審判決は、国の賠償責任が及ぶ時期や、一人親方の被害を救済対象に含めるかどうかが異なっていた。今回、被害者を幅広く救済する方向性が示されたことになる。

 安価で耐火性に優れる石綿は、70~90年代に大量に輸入された。これを建材メーカーが内外装や屋根の材料に使用した。建設現場で働く労働者は、石綿繊維を含む粉じんを吸い込んだとみられる。

 早くから健康への悪影響が指摘されていたが、国が石綿の使用を全面禁止したのは2006年で、欧米に大きく後れをとった。国民の健康と安全を軽視したと批判されても仕方があるまい。

 石綿による疾患は潜伏期間が長く、「静かな時限爆弾」と呼ばれる。吸い込んでから20~50年後に発症することもあり、被害者は今後さらに増える可能性がある。

 現在、被害者の救済制度は、労災認定のほか、06年に制定された石綿健康被害救済法に基づく給付金がある。だが、国や建材メーカーの賠償責任に基づく補償ではないため、給付水準は低い。

 原告側は、国と建材メーカーが基金をつくって被害者に補償することを提案している。原告団と面会した田村厚生労働相は「協議の場を設ける」と述べたという。

 建材メーカーの責任については、最高裁が21年春にも統一判断を示すとみられる。

 石綿が原因の労災認定は毎年約1000人に及ぶ。半数が建設労働者だ。裁判の負担は大きく、訴訟外で迅速に救済する仕組みを設けることが望ましいだろう。

 石綿が使われた建物は老朽化が進んでおり、解体のピークは30年頃になる見通しだ。

 解体現場で働く作業員が石綿を吸い込むことのないよう、国は改めて危険性を周知し、飛散防止策を徹底させる必要がある。

無断転載・複製を禁じます
1739695 0 社説 2020/12/31 05:00:00 2020/12/31 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
お買い上げ金額から10%OFF
NEW
参考画像
1ドリンクサービス(お一人様1杯)
NEW
参考画像
1,000円以上お買上げの方に「とうきび茶」プレゼント
NEW
参考画像
「ふぞろいの牛タン・切り落とし」一品プレゼント!
NEW
参考画像
ファーストドリンク一杯無料

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)