中国の台湾威嚇 米新政権を試す露骨な挑発だ
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米国のバイデン新政権が台湾問題に介入しないよう、
中国が米政権発足直後の2日間で、戦闘機や爆撃機など計28機を台湾の防空識別圏に進入させた。これまでにない規模で、軍事力を誇示したといえる。
中国軍機は、中台の事実上の停戦ラインである台湾海峡の中間線越えも繰り返している。台湾との偶発的衝突を招きかねない。直ちに中止すべきだ。
中国軍の様々な行動は台湾有事を想定しているとみられる。中国は軍創設100年の2027年をめどに、台湾に武力侵攻した場合に米軍が介入できないよう、戦力構築を目指しているとされる。
習近平国家主席は国際会議での演説で「新たな冷戦を仕掛け、他国を脅し、制裁を行えば、世界の分裂を招くだけだ」と米国を暗に批判した。だが、緊張を無用に高めているのは中国ではないか。
バイデン政権がトランプ前政権に引き続き、対中強硬路線を打ち出しているのは妥当である。
バイデン大統領の就任式には、台湾の駐米代表が主催者の招待を受けて出席した。台湾の代表が就任式に正式に招かれたのは、1979年の米台断交後、初めてだという。台湾への関与を強める米国の意思が明確に示された形だ。
中国機の防空識別圏進入では、国務省が中国に台湾への軍事的、外交的、経済的圧力を停止するよう求める声明を出した。米国が台湾の自衛能力の維持を支援し続けるという立場も強調している。
中国の台湾への威嚇は、東アジア全体の安全保障を揺るがす行為だ。これに対処する米国の動きについて、中国が「内政干渉」と主張するのは筋違いである。
香港での自由の
中国民間船舶が昨年、台湾の馬祖列島に大挙して接近し、海砂の採取などを続けていたことがわかった。民間船を隠れ
中国の台湾威嚇は、日本にとって対岸の火事ではない。台湾は、民主主義の価値観を共有している。日本など米国の同盟国が緊密に連携し、台湾との関係強化に努めていくことが重要である。