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政府の財政試算 甘い見通しでは信頼が揺らぐ

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 高い経済成長に期待するだけでは、財政の持続可能性が揺らぐ。政府は新型コロナウイルスの感染拡大で一段と厳しくなった財政の現状を、直視せねばならない。

 内閣府は、中長期の新たな財政試算をまとめた。国と地方の基礎的財政収支(PB)は2025年度に7・3兆円の赤字となり、黒字になるのは29年度になると予想している。いずれも、昨年7月時点の試算から変わっていない。

 PBは、借金に頼らずに、政策に使う経費を税収などでどれだけ賄えているかを表す指標だ。

 政府は、歳出改革に取り組めば、黒字化を3年程度前倒しできると説明し、コロナ禍の前から掲げている「25年度の黒字化」という目標は見直さなかった。

 20年度は3度の補正予算で大量の国債を発行するため、PBの赤字額は69・4兆円と、昨年7月時点の予測よりさらに悪化した。黒字化は遠のいたはずなのに、目標を維持するのは理解に苦しむ。

 赤字が残るとした試算ですら、高い経済成長率を前提にしたものだ。21年度に物価の影響を除いた実質成長率が4%に回復し、家計の実感に近い名目成長率は4・4%になると見込んでいる。

 その後も20年代は、デジタルや環境分野への投資拡大で、3%を上回るバブル期以来の名目成長率が続くと想定した。あまりに楽観的だと言わざるを得ない。

 財政再建には経済成長が重要であることに異論はないが、経済の実力を示す日本の潜在成長率は1%弱に低迷したままだ。

 政府が、目標維持の根拠とする歳出改革も心もとない。22年からは団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の増加ペースが加速する。

 後期高齢者が払う医療費の自己負担割合を22年度中に引き上げるが、抜本改革にはほど遠い。

 消費税率の再引き上げは、論議が封印されており、黒字化の道筋は全く見えてこない。

 今後も感染症が収束せず、追加の経済対策が必要になる可能性がある。無論、困窮する家庭や企業の救済に万全を期すのは当然で、支出をためらうべきではない。

 それでも政府としては、財政の危機的な状況にしっかりと向き合い、信頼性の高い試算を国民に示して、今後の改革への理解を求める責任があるのではないか。

 日本の財政悪化はコロナ禍の前から先進国で突出している。甘い見通しを排し、財政健全化のシナリオを描き直してもらいたい。

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1801787 0 社説 2021/01/28 05:00:00 2021/01/28 05:00:00

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