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森氏の女性発言 五輪会長として不見識すぎる

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 世界が注目する祭典を主導する立場として、あるまじき発言である。

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が、日本オリンピック委員会(JOC)の会合で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。女性は競争意識が強い」と述べた。

 女性差別と受け取られても仕方がない不見識極まりない発言だ。男女平等をうたった五輪憲章にも反している。森氏が謝罪した上で、撤回したのは当然である。

 JOCや各種スポーツ団体は、女性の理事らの割合を4割に増やすことを目指している。スポーツ分野での女性の活躍を後押しし、セクハラ防止などコンプライアンスの向上を図る意義は大きい。

 森氏の発言は、JOCが役員改選に向けて、まさに女性理事を増やそうと、議題の一つにした公の会合で出たものだった。

 日本で女性の参画が遅れているのは事実だろう。スイスの民間研究機関「世界経済フォーラム」によると、政治や経済などに関わる男女平等の度合いを示す指数で、日本は153か国中、121位にとどまっている。

 この不名誉な現状を改めようと、官民で現在、意思決定への女性参画を進める努力をしている最中だ。森氏の発言が、こうした機運への冷や水となったのは間違いない。組織委や東京都には、苦情や抗議が殺到しているという。

 差別発言は、海外メディアにも報じられた。森氏の発言が、あたかも日本を代表する意見だと誤解されないよう、大会関係者は、丁寧に説明を尽くす必要がある。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、森氏の謝罪を受け、「問題は終結した」との立場だ。事態を早期に収拾し、五輪本番に向けた準備を急ぎたいのだろう。

 森氏は辞任を否定しているが、大会運営を担う組織のトップとして、自覚を欠いている。開幕を5か月半後に控えたこの時期に、失言で混乱を招いた責任は重い。発言の影響を踏まえて、身の処し方を再考すべきではないか。

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、五輪開催に懐疑的な人が増えている。国内での感染を抑え込み、海外の選手に安心して入国してもらえる環境を整えられるかどうかの正念場を迎えている。

 政府と東京都、組織委などが緊密に協力して、安全な大会の実現に向けた精緻せいちな計画をつくらなければならない。感染症対策に最優先で取り組み、不安のふっしょくに努めることが大切である。

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1823586 0 社説 2021/02/06 05:00:00 2021/02/06 05:00:00

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