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文化産業の力 メガヒットをどう生み出すか

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 難局にある文化産業を活気づける現象だ。漫画「鬼滅の刃」のヒットが幅広く波及している。

 大正時代を舞台に、妹思いの少年が仲間たちとともに、人食い鬼に立ち向かう作品である。テレビアニメ化で人気に火がつき、映画が続いた。小説版などもある。メディアミックスの手法が奏功したと言える。

 出版界は2020年、推定販売金額が、前年比4・8%増の約1兆6000億円となった。

 新型コロナウイルスの流行による外出自粛のため、読書需要そのものが高まったことに加え、「鬼滅の刃」の漫画や小説版が底上げに貢献したとされる。

 漫画の単行本は電子版を含め、計23巻で1億2000万部を超えている。十分にファン層が広がったところで、雑誌連載が完結し、最終巻発売を迎えた。こうした話題が続いたことも、売れ行きを押し上げたのではないか。

 映画界は、感染拡大の痛手は深刻だった。映画館が一時営業を休止し、入場者数は落ち込んだ。

 年間の興行収入も前年からほぼ半減し、約1400億円にとどまった。過去20年で最低となったが、全体の2割以上を占めたのが映画「鬼滅の刃」だという。

 洋画の大作が公開延期となったこともあり、上映スクリーン数を大幅に増やした。ファン向けのグッズも手厚く用意した結果、興行収入は2か月余りで、宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」を抜き、歴代1位に駆け上がった。

 不振の中での独り勝ちとも指摘されているものの、上映手法の工夫に努め、観客を映画館へ呼び戻した意義は大きい。

 コラボ商品も多数発売され、経済効果は巨大とみられる。政府が目指すコンテンツ産業の振興という観点からも、今後、モデルケースの一つとなるに違いない。

 近年、メディアミックスの手法は多様化している。ゲームや動画配信を組み合わせた展開も目立つが、核となる人気作品抜きには成り立たない。その供給源として、なお漫画が持つ存在感の大きさを示した事例でもある。

 漫画界の特色は、若い才能の発掘に力を入れてきたことだ。「鬼滅の刃」も、作者にとって初の連載作だったことは見逃せない。電子媒体も活用し、裾野を広げる努力があればこそ、メガヒット作も出てくるのだろう。

 他の分野でも、新しい世代を育てる姿勢は大切にしてほしい。長期的に見れば、文化産業の発展につながるはずだ。

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1825167 0 社説 2021/02/07 05:00:00 2021/02/07 05:00:00

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