韓国の対北政策 日米と足並みを揃えられるか
完了しました
米国の政権交代を機に日米韓3か国が北朝鮮政策で足並みを
バイデン米大統領と韓国の文在寅大統領が電話会談を行い、米韓同盟の堅持や北朝鮮戦略の再構築を確認した。日韓関係の改善と日米韓の協力が地域の安定に重要だとの認識でも一致したという。
現段階では、原則論で合意したにすぎない。韓国が具体的な政策を通じて日米との協調体制を築き、北朝鮮の非核化などで成果を上げるのは容易ではなかろう。
北朝鮮に対する抑止力と有事の即応体制を維持するには、米韓が大規模な訓練を重ねることが重要だ。米国のトランプ前政権下で中止になった米韓合同軍事演習の再開に向けて、両国の協議が加速することが望ましい。
文氏は演習再開について「北朝鮮と協議できる」との考えを示している。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が演習に反対していることに配慮しているのだろうが、米韓が決定すべき事項で北朝鮮の意向を聞くのは筋違いだ。
文氏は、韓国が米国と北朝鮮の対話を仲介し、米朝の緊張緩和と朝鮮半島の和平につなげようとする政策を推進してきた。トランプ前米大統領と正恩氏による首脳会談はその到達点となったが、北朝鮮の非核化で進展はなかった。
バイデン政権は、対北朝鮮政策の包括的な見直しを行っている。ブリンケン国務長官は、北朝鮮の核・ミサイル問題が悪化しているとの認識を示し、追加制裁を含めた措置を検討すると表明した。
首脳間の個人的な関係で核問題を解決しようとした「トランプ流」はとらないということだろう。文氏も正恩氏との親密な関係の構築に腐心してきたが、状況の変化を認識しなければなるまい。
正恩氏は、核兵器の小型化や、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の性能向上などの方針を公言している。北朝鮮の核・ミサイル開発は深刻な脅威であり、地域の不安定要素だ。その現実を、文氏は重く受け止める必要がある。
北朝鮮政策での日米韓の円滑な連携を実現するには、日韓関係の改善が不可欠であるのに、韓国側が歴史問題を蒸し返したことで、関係の冷却化が続いている。
元慰安婦や「元徴用工」を巡る訴訟での韓国司法の不当な判決で、日韓関係の法的基盤がそこなわれた。文政権は責任をもって、善後策を講じるべきだ。