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潜水艦衝突 一歩間違えば大惨事だった

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 安全保障の根幹にかかわる言語道断の事故である。政府は、一歩間違えば大惨事につながったことを、もっと深刻に受け止めるべきだ。

 高知県沖の太平洋上で、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」と民間の貨物船が衝突した。自衛官3人が軽傷を負った。貨物船側にけが人はいなかったという。

 岸防衛相は、事故について謝罪するとともに、「再発防止に取り組む」と強調した。

 事故現場は、カツオ漁などで多くの漁船が行き来する海域だ。民間人の死傷者が出なかったのは、貨物船のほうが潜水艦より大きかったためにすぎない。巻き込まれたのが小型の漁船であれば、沈没は免れなかっただろう。

 事故は、水中を航行していたそうりゅうが海面近くに浮上した際に起きた。民間の船舶が海中の潜水艦を見つけることはできない。安全確保は潜水艦の責任だ。

 潜水艦が浮上する際は通常、水中音波探知機の担当者が周囲の船舶のスクリュー音を聞き取り、船の存在や進行方向、潜水艦との距離などを確認している。

 今回は、海面付近まで浮上し、潜望鏡を出して目視するまで、貨物船が近くを航行していることに気づかなかったという。浮上前の確認作業や艦内の意思疎通は、どのように行っていたのか。徹底的な検証が必要である。

 そうりゅうは、定期検査後の訓練中だった。乗組員は長期間、海上の任務を離れており、練度不足の可能性も指摘されている。

 現在、海上保安庁が事故について捜査し、海自も事故調査委員会を設けて原因究明にあたっている。海自は捜査に協力して問題点を洗い出し、その詳細を公表することが重要である。

 事故後、約3時間半にわたって通信不能となったことも問題だ。アンテナなどの通信機器が事故によって損傷し、通常の携帯電話の電波が届く場所に移動するまで、事故の一報ができなかった。

 事故で重傷者が出ていたら、救命対応が遅れていた。あってはならない失態だ。携帯式の衛星電話などを早急に配備してほしい。

 20年前の2月には、ハワイ沖で米原子力潜水艦と実習船「えひめ丸」が衝突し、生徒ら9人が死亡した。30人が亡くなった海自潜水艦「なだしお」と遊漁船の衝突事故を想起した人も多かろう。

 こうした事故は、自衛隊に対する国民の信頼を大きく損なう。二度と繰り返さぬよう、再発防止策を徹底しなければならない。

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1841084 0 社説 2021/02/14 05:00:00 2021/02/14 05:00:00

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