非正規休業補償 企業規模問わず適切な支援を
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新型コロナウイルス流行の影響により、多くの非正規労働者が休業を迫られている。大手や中小といった企業の規模にかかわらず、必要な支援を講じたい。
政府は、勤め先から休業手当が出ない従業員に支給する休業支援金について、中小企業の正規・非正規労働者に加え、大企業の非正規労働者の一部も対象とする方針である。シフト制などで働く人を加えるという。
対象の拡大は妥当だろう。適切に運用すべきだ。
会社の都合で仕事を休んだ人には本来、各企業から休業手当が支払われるが、実際には支給されないことも少なくない。
このため、中小企業の従業員については、正規・非正規を問わず、昨年7月、1日1万1000円を上限に、国が賃金の8割を支給する支援制度が導入された。
コロナの感染が拡大した昨年から、飲食店の営業時間短縮などにより、多くのアルバイトやパートが休業した。大企業は支援金の対象ではないため、大手飲食チェーンなどの従業員が救済されず、問題になっている。
非正規で働く人には、家計を支えるひとり親や、学費や生活費を稼ぐ学生もいる。不安定な生活基盤を支えることが重要である。
支給対象を広げる期間は原則として、緊急事態宣言と連動させる予定だ。今年1月以降と、初めて発令された昨年4月から6月の休業にも遡って適用するという。
従業員が国に申請する際は、休業していたことやその期間について、勤め先に証明してもらう必要がある。国は、手続きを簡素化するとともに、企業に丁寧に説明し、使い勝手を良くしてほしい。
ただ、支援制度は休業手当が出ない人を緊急避難的に救うものであることを忘れてはならない。支援金が出ることを理由に、休業手当を支払わない企業が増えるようでは本末転倒である。
休業手当を支給した企業に対してはもともと、手厚い雇用調整助成金を出している。非正規雇用でも、1人について1日1万5000円まで補助される仕組みだ。
政府は、助成金の活用を促し、非正規労働者にきちんと休業手当を支払うよう、企業に強く働きかけていくことが大切である。
企業が従業員を解雇せず、休業にとどめる意義は大きい。人手不足の業種や成長産業での就業に向けた訓練を充実させると同時に、雇用を継続するための支援策をさらに検討してもらいたい。