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デジタル教科書 普及よりも課題の検証が先だ

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 デジタル教科書の活用に不安を持つ自治体は多い。過度の利用に警鐘を鳴らす研究者も目立つ。文部科学省は普及を急ぐあまり、課題の検証をおろそかにしてはならない。

 文科省の有識者会議が、デジタル教科書の活用に関する中間まとめ案を策定した。2024年度を本格導入の契機と位置づけ、学校教育の質を高めるために、積極活用が必要だと指摘している。

 デジタル教科書を使っている公立小中学校は現在、いずれも1割に満たない。文科省が昨年夏に設置した有識者会議では、学者や学校、デジタル業界の関係者らが普及に向けた議論を進めてきた。

 デジタル化を掲げる菅首相の方針を受け、早期にわかりやすい成果が必要なのだろうが、結論ありきだった感は否めない。

 読売新聞が調査した74市区の9割は、導入に不安があると回答した。子供の視力低下や通信環境の確保に加え、書く時間の減少を理由に挙げたところもあった。

 現場が不安を抱えているようでは、効果的な学習は望めまい。なぜデジタル化が必要なのか、どのような教育効果があるのか、教員や保護者への説明が不可欠だ。

 文科省は新年度から、デジタル教科書を無制限に使えるようにする方針だ。全国の小中学校で実証事業も行うというが、積極活用を促した後で効果を検証するというのでは、順序が逆ではないか。

 米国の神経科学者メアリアン・ウルフ氏によると、欧州の若者17万人以上を対象にした研究では、デジタル機器より紙媒体で読む方が理解度が高かったという。

 ウルフ氏は「教育では、ゆっくり考え、共感力や批判的な分析力を身につけさせる必要がある」と述べ、脳の発達には紙媒体での学習が望ましいと指摘する。

 著書「スマホ脳」で知られる精神科医アンデシュ・ハンセン氏もデジタル化には慎重で、「やみくもに取り入れた自国のスウェーデンでは学習効果が落ちた。新しいというだけで優れていると思わない方がいい」と警告している。

 行政のデジタル化は急ぐべきだが、子供の教育は弊害が生じた場合、取り返しがつかない。効果を見極めてからで十分である。

 紙とデジタルには、それぞれ良さがある。デジタルを補助教材として生かすことも選択肢に加え、学年や教科、子供の個性に応じた活用方法を模索すべきだ。

 指導法やトラブル対応など教員研修の充実も重要だ。本格導入の前に、やるべきことは多い。

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1865977 0 社説 2021/02/25 05:00:00 2021/02/25 10:52:29

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