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デジタル給与 安全性の確保に懸念がある

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 政府が、銀行を通さずに給与をスマートフォンの決済アプリに振り込む「デジタル払い方式」を検討しているが、問題が多い。拙速を避け、徹底した影響の検証が不可欠だ。

 労働基準法は、賃金を確実に受け取れるよう、企業は「通貨で直接労働者に全額を支払う」と定めている。金融機関の口座への振り込みは例外として認めてきた。

 デジタル払いはキャッシュレス化の推進が主な目的で、厚生労働省の審議会で論議されている。

 日本での口座開設が難しい外国人労働者の就労環境を整えることも狙いとしているが、そうした措置を一般の国民にも広げることが適切と言えるのか。

 給与は多くの人にとって重要な生活の基盤だ。何より、安全性の確保を最優先せねばならない。

 デジタル払いの受け皿と想定されるのは、電子マネー業者のうち送金が可能な資金移動業者で、「PayPay(ペイペイ)」などが該当するとみられている。

 銀行には、公的な預金保険制度があり、経営破綻した場合でも元本1000万円などが保護され、迅速に支払われる。他の事業が行き詰まった時に預金に損害が及ばないよう、本業以外を厳しく制限する規制がある。

 こうした安全対策は、いずれもスマホ決済などの資金移動業者は対象外となっている。

 NTTドコモの「ドコモ口座」を巡る不正引き出しなど、電子マネーを狙った犯罪が相次いでいることも不安視されている。

 アプリのお金が守られるのか、支払いが遅れることはないか。資金移動業者が手がける他の事業が破綻して、給与に波及する事態も心配だ。こうした懸念を解消することが先決である。

 また、出資法では、資金移動業者は預金のような資金の預かりは禁じられ、決済用の一時的な滞留が認められているだけだ。数十万円単位で給与が振り込まれると、事実上、預金と同じになるが、扱いは現時点ではっきりしない。

 多くの給与がデジタル払いに移行すれば、銀行の収益基盤が奪われてしまう。個人のお金を預かって企業に貸し出す「金融仲介機能」が損なわれかねない。経済全体への影響は大きい。

 しかし、厚労省の審議会は労使の代表や学者で構成され、銀行などからメンバーは入っていない。国民生活に重大な影響を及ぼす給与の取り扱いを変更するのであれば、もっと総合的、多角的に議論を尽くす必要がある。

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1871869 0 社説 2021/02/27 05:00:00 2021/02/27 05:00:00

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