米中高官協議 対立の根深さが鮮明になった
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中国が国際法秩序や普遍的価値観に基づかない自国中心の主張を押し通し、米国に挑戦する構図が鮮明になった。国際社会は結束し、中国の独善的行動に対処せねばならない。
米国のバイデン政権が発足して初めての、米中高官協議が米アラスカ州で行われた。両国の外交トップが出席し、双方の立場を互いに確認する場となった。
ブリンケン国務長官ら米国側は中国外交を統括する楊潔チ・共産党政治局員らに、「中国はルールに基づく秩序を脅かしている」と非難した。中国に対する懸念が、同盟国や友好国の間で広く共有されていることも指摘した。
米国が築いた自由や法の支配を基にする国際システムに対し、中国が力の行使を
南シナ海や台湾海峡、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の威圧的な行動はその典型だ。香港や新疆ウイグル自治区での弾圧は、異論を許さない強権支配と人権
意に沿わない国に、懲罰的措置として貿易規制や関税を課す中国の手法への批判も根強い。
米国はこうした問題を逐一提起したが、中国は従来の主張を繰り返すだけで進展はなかった。
歴代米政権は中国との高官協議で、対立回避や協調の演出を優先するあまり、懸案を解決できないことが多かった。オバマ政権時代、中国の習近平国家主席は首脳会談で「南シナ海を軍事化しない」と約束したが、
バイデン政権は「米中関係の前進には中国がまず行動を変えねばならない」という立場だ。対話のための対話は行わず、同盟国との連携を深めながら、中国の変化を促す戦略は理にかなっている。
中国側は共産党体制の優位を宣伝し、香港や台湾などの「内政問題」に米国は介入すべきでないと
だが、中国が信頼に足る行動をとらなければ、協力関係は築けない。中国は自らの言動が国際社会の警戒心を増幅させている現実を直視し、ルールや国際約束の順守へと
日本などの同盟国は、米中対立の長期化に備えて、中国の軍拡に対する抑止力強化や、先端技術で中国に依存しない体制作りを急ぐ必要がある。米中に軍事的緊張の激化や不測の衝突を回避するよう、自制も求めねばなるまい。