自民党大会 謙虚な姿勢で懸案に取り組め
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感染症収束の道筋を付け、国の活力を取り戻すことが最大の課題だ。謙虚な姿勢で、政権党の使命を果たしてほしい。
自民党が定期党大会を開いた。菅首相は、新型コロナウイルス流行について「一日も早く収束させ、安心とにぎわいのある日常を取り戻す」と強調した。
今後の感染再拡大を抑えるため、政府と自治体、医療関係者などが協力して、包括的なコロナ対策を進めることが重要である。首相の指導力が試されよう。
党大会は2年ぶりの開催だ。出席者を国会議員らに絞り、地方代表者はオンライン参加とするなどの感染防止策を講じた。地方議員や党員らの幅広い意見を集約して政策に生かしてもらいたい。
運動方針は「未来を切り
衆院議員の任期は10月に満了し、秋までに衆院選が行われる。自民党は2012年の政権復帰以来、国政選挙で勝利を重ねてきたが、「1強」の
自民党内では、規範意識に欠ける不祥事が続いている。元法相の河井克行夫妻の公職選挙法違反事件をはじめ、吉川貴盛・元農相の収賄事件などが相次いだ。
本人の離党や議員辞職だけで、政治的な幕引きを図ろうという姿勢では、あまりに情けない。首相は党総裁として規律を徹底し、信頼回復に努めることが急務だ。
菅内閣は、発足から半年たった。一時の高い支持は失ったものの、コロナ感染者数の減少とともに、支持率は回復の兆しが見える。
野党の力不足が否めない中、国民は首相の実行力を厳しく見定めているのではないか。
首相は看板政策として、行政のデジタル化や温室効果ガスを出さない「脱炭素」を掲げている。
新たな成長産業の創出につなげるという意図は理解できるが、中長期にわたる取り組みが必要な施策だ。スローガン倒れに終わらないよう、課題を検証しつつ、粘り強く進めなければならない。
首相が、財政再建や社会保障改革などに及び腰なのは物足りない。米中対立が深刻化する中、今後の外交方針についても自らの言葉で明確に語ることが大切だ。
与野党は、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案に関し、今国会で結論を得ることで合意している。野党との協議を加速させ、早期に成立を図りたい。