東証再発防止策 訓練重ね障害の復旧に万全を
完了しました
全銘柄の売買を終日停止するという失態が二度とないよう、システムに障害が起きても、早期に復旧できる万全の態勢を整えるべきだ。
東京証券取引所は、昨年10月に発生したシステムトラブルの再発防止策などを盛り込んだ最終報告書を発表した。障害の際に、取引を再開するためのルールを明確化したもので、4月から実施するとしている。
障害は、機器が故障し、バックアップ機能も働かなかったことが原因だが、手動で再起動し、取引を再開することは可能だった。
だが、証券会社から受けている注文をどう扱うかなど取り決めが不十分で、混乱を避けるため終日停止するしかなかったという。
すべての銘柄が終日売買できなくなったのは、1999年の現行システムへの移行後初めてだ。
東証はシステム運用で「ネバーストップ」を目標に掲げていた。止めないことにとらわれるあまり、障害が起きて止めざるを得なくなった場合の備えが
東証は世界有数の取引所だ。売買停止を長引かせ、投資機会を奪う事態はあってはならない。
新たなルールは、まず、東証がすでに受けている注文を取り消せる規定を設けた。復旧のめどがついた後は、東証が証券会社などに、インターネットを通じて取引再開の可否について確認する。
参加できる会社の売買代金のシェア(市場占有率)が5割以上となった上で、個人投資家のうち3割以上が売買可能になる場合に、再開できるとした。
取引時間を15分以上、確保することも要件にするという。1日の売買が少なくなって、価格形成に悪影響が出ることを防ぐ狙いだ。東証の取引時間は午後3時までのため、午後2時45分までに再開する必要がある。
ルール整備だけでなく、多様な状況を想定した訓練が必須だ。
東証は報告書の中で、新たな計画を示した。障害時の対応やルールの運用について訓練を行い、証券会社などと手順を点検するという。その過程でさらに課題を洗い出し、改善を重ねてほしい。
昨年のトラブルでは、記者会見が遅れた。情報開示の姿勢も、改めてもらいたい。
東証は障害発生時に専用のホームページを開設し、少なくとも30分ごとに更新する方針だ。投資家が安心して取引できるようにするには、丁寧な情報発信が不可欠であることを忘れてはならない。