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デジタルと教材 使い方と効果の検証を慎重に

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 教育現場から教科書のデジタル化を不安視する声が出ている。普及を急ぐ前に、効果と課題を丁寧に検証し、懸念のふっしょくに努めねばならない。

 公立小中学校を所管する全国の市と東京23区を対象に、読売新聞がデジタル教科書の導入について調査したところ、懸念があると回答した自治体が「大いに」と「少し」を合わせて86%に上った。「ない」は7%だった。

 文部科学省の有識者会議は、新年度に1年間かけて全国的な検証作業を行い、2024年度の本格導入を目指すよう求めている。

 しかし、調査では、自治体の4割が、検証には「3年以上」必要だと答えた。検証すべき点は「学習の理解や定着度」や「教員のICT指導力」、「学校内外の通信環境」が多かった。

 子供の理解や定着度は、教育の根幹にかかわる。急速にデジタル化を進めた結果、学力が低下する事態を招けば、取り返しがつかない。検証は1年と区切らず、時間をかけて丹念に進めるべきだ。

 東京大のチームは、紙の手帳とタブレット端末、スマートフォンにイベントの日程を書き込む実験から、記憶の定着には紙が優位だとする研究結果を発表した。紙の教科書やノートを使った学習の効果を示すものだとしている。

 記憶や深い理解には、紙の方が優れているという研究結果は、国内外で相次ぎ発表されている。今回の調査でも、自治体から「じっくり読めて読解力や思考力が深まる」「取り扱いが簡単で学習に集中できる」との声が上がった。

 業務の効率化やサービスの利便性向上が求められる行政やビジネスの分野は、デジタル化が急務だが、子供の学びについては、紙を基本とし、デジタルは補助教材として活用するのが望ましい。

 萩生田文科相は「24年度までに完全移行することが前提ではない」と述べ、紙との併用を視野に検証を進める考えを示した。

 デジタルは動画や音声も利用でき、読み書きが困難な児童生徒の学習にも効果的だ。文科省は検証作業を進める間に、教科書会社などとも連携し、最適な使い方を検討してもらいたい。

 教員の指導力向上も大切である。デジタルを使った授業方法の研修も充実させねばならない。

 財政力が弱い自治体では、教員研修や端末のトラブル対応を担うICT支援員の配置が進んでいない。デジタルの導入が教育格差につながらぬよう、文科省は十分に目配りする必要がある。

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1944612 0 社説 2021/03/29 05:00:00 2021/03/29 05:00:00

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