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香港の選挙制度 もはや民意は反映されない

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 中国に批判的な香港の民主派を政治から完全に排除する狙いは明白だ。民意を反映しない選挙制度に改変し、民主主義を根本から破壊する措置は断じて容認できない。

 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、習近平政権が掲げる「愛国者による香港統治」の原則に従う形で、香港の選挙制度の見直し案を可決した。

 香港政府トップの行政長官を選出する「選挙委員会」のメンバーを1200人から1500人に増やし、親中派の影響力がさらに拡大されることになった。

 立法会(議会)は、定数を70から90に増やし、40議席が新たに選挙委員会の選出枠に配分された。これまで35だった直接選挙枠は20に減った。候補者の「資格審査委員会」が作られ、香港政府への忠誠が立候補条件とされた。

 これでは、民主派が立候補できる余地も、有権者の1票の重みもないに等しい。議会は全人代と同様に、当局の方針を追認するだけの翼賛組織となろう。

 昨年導入された国家安全維持法が反体制活動を締め付けているなかで、中国の民主派潰しは総仕上げの段階に入ったと言える。

 議会選は新制度で行うために、9月から12月に延期された。習政権は、選挙制度改変を強行して、国際社会の批判をはね返す姿勢を見せたいのだろう。

 今回の見直しは、香港の憲法にあたる基本法が「普通選挙」を最終目標に掲げていることに逆行している。1984年の中英共同宣言で、97年の中国への香港返還後、50年間保障するとした「一国二制度」の理念にも反している。

 中国の行動が国際約束を反故ほごにしているのは明らかだ。内政干渉だという反論は筋が通らない。

 香港はこれまで、民主主義と自由、多様性を土台に、国際的な金融センターの地位を築いてきた。だが、「愛国者」を重視する習政権の政策によって、中国政府や共産党を支持しない人々は、居場所を失いつつある。

 英国の市民権獲得につながる特別ビザの取得申請は激増しているという。米調査機関は「世界の経済自由度指数」で長年1位だった香港を、評価の対象外とした。

 中国政府は、選挙制度の見直しについて、「香港の長期的繁栄と安定のため」と説明するが、逆効果ではないか。

 民主主義の喪失で住民の流出や金融センターとしての地盤沈下が進めば、かえって国益の損失となることを中国は自覚すべきだ。

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1952725 0 社説 2021/04/01 05:00:00 2021/04/01 05:00:00

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