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中国の中東外交 「反人権」陣営をつくるのか

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 中国が経済協力をてこに中東諸国との関係強化へ動き出した。人権問題を巡る米欧の圧力に対抗する狙いは明白だ。中東地域のさらなる不安定化が懸念される。

 中国の王毅外相が、サウジアラビアやトルコ、オマーンなど中東6か国を歴訪した。「西側諸国は人権を口実に発展の権利を奪おうとしている」といった主張を繰り返し、「内政干渉に反対する」との原則で各国と一致した。

 歴訪は、中国の少数民族ウイグル族に対する弾圧に関し、米欧が対中制裁を発表した直後に行われた。中東諸国との連帯をアピールすることで「米欧の主張は国際社会を代表していない」という一方的な持論を広める思惑だろう。

 人権の尊重は、国連憲章などで国際的に確立された原則であり、「内政干渉」という中国の反論は筋が通らない。

 中国はこれまで、地域問題に深入りして泥沼にはまることを危惧し、中東外交には消極的だった。それが、今回の歴訪では、シリア内戦や中東和平、イラン核問題などの懸案に関与し、地域の安定を主導する姿勢をアピールした。

 なかでも、中国が地域大国のイランと25年に及ぶ包括的な協定を結んだことには警戒が必要だ。中国の巨額投資と、イランの原油、天然ガス供給が柱となろう。

 中国とイランは米国と敵対している点で同じ立場だ。中国はエネルギーの確保に加え、米国との覇権争いを有利に進めるうえでも、中東での影響力を拡大すべきだと判断したのではないか。

 中東は民主化が進まず、軍や王族による権威主義的な支配が続いている。原油価格の長期低迷で、経済構造の転換も急務だ。米欧と距離を置き、中国に傾斜していく可能性は十分にある。

 米国のバイデン政権は、中東戦略の立て直しを急ぐ必要がある。トランプ前政権が進めた中東からの米軍撤収やイラン核合意離脱、過度のイスラエル重視政策は、地域における米国の存在感を弱め、中国が入り込む余地を作った。

 立て直しの第一歩は、イラン核合意への復帰だろう。イランの核開発制限と米国のイラン制裁解除を柱とする核合意は、地域の安定に不可欠だ。両国は対話を加速させねばならない。

 中東の混迷は、内戦やテロの拡大、難民増加を招き、世界全体に深刻な打撃を与える。人権抑圧批判をかわすために、中国が中東を米中対立の場とするのは、危険な試みだと言わざるを得ない。

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1969377 0 社説 2021/04/08 05:00:00 2021/04/08 05:00:00

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