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処理水海洋放出 円滑な実施へ風評被害を防げ

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 東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ処理水の海洋放出が決まった。政府は環境に影響しないことを周知し、風評被害の防止に努めねばならない。

 原子炉内の溶融燃料に地下水が触れて発生する汚染水は現在、浄化した後、処理水としてタンクに貯蔵される仕組みになっている。処理水は毎日140トンのペースで増えていて、タンクの数は現状で1000基以上に達している。

 来年秋以降、タンクの容量は限界を迎えるという。海洋放出は、配管工事などの準備に約2年かかる。これ以上の先延ばしは許されない状況と言える。

 政府は、有識者会議の報告を踏まえ、処理水を一定濃度まで薄めて海に流すことは妥当だと判断した。国際原子力機関(IAEA)も支持している手法だ。欧州はじめ各国でも実際に行われている。他に選択肢はなかっただろう。

 漁業関係者を中心に、反対の声は根強い。海洋放出に伴う風評被害で、漁業が打撃を受けることを危惧するのは理解できる。

 ただ、処理水に含まれる放射性物質のトリチウムは、自然界にも存在し、放射線は弱い。浄化装置でも除去できないため、国内外の原発の多くが海に放出しているものだ。今回はさらに国内基準の40分の1にまで希釈するという。

 政府はトリチウムの性質や放出手順を丁寧に説明し、消費者の不安を取り除くことが重要だ。海産物の販売促進や販路拡大などの支援策も検討すべきだろう。

 中国や韓国は、食品の輸入規制を続けている。海洋放出に反発しているが、政府は粘り強く是正を求める必要がある。透明性を高めるため、IAEAの協力を得て、周辺の水質を継続して監視する体制を整えることも大切だ。

 処理水は、今後30年間にわたって、徐々に放出していく予定だという。東京電力と政府は、綿密な計画を立てて、着実に放出を実行してもらいたい。

 福島第一原発の廃炉には30~40年かかる。海洋放出の決定は、その長い道のりの一歩にすぎない。今後は溶融燃料の取り出しという最難関の事業が控えている。タンクが敷地を占拠していては、作業の足かせとなるところだった。

 政府は、今回の処理水放出を決断するまでに10年を費やした。こうちゃく状態を打開し、前に進むためにリーダーシップを発揮したとは言い難い。国民に不人気の政策から逃げず、廃炉と復興を進める強い意志を示すことが不可欠だ。

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1983422 0 社説 2021/04/14 05:00:00 2021/04/14 05:00:00

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