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「世界の記憶」 政治利用阻止の仕組み整えた

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 文化財保護や異文化の理解を目指した国際機関の制度が、反日宣伝に悪用される事態は困る。日本の主導で、そうした動きに歯止めをかける改革が実現したことを評価したい。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の執行委員会が「世界の記憶」の制度改革案を承認した。1992年に始まった世界の記憶は、歴史的文書の保存・活用が本来の目的で、フランスの「人権宣言」などを登録している。

 日本が問題視したのは、手続きの透明性と中立性である。これまでは、審査の過程が公開されず、関係国が異議を唱える仕組みも整っていなかった。

 中国が申請し、2015年に登録された南京事件に関する文書には、歴史研究上、正当性が疑問視される資料が含まれている。16年には、日中韓などの民間団体が慰安婦関連資料を申請したが、日本の抗議で登録が見送られた。

 新たな制度では、申請できるのは政府だけとし、これまで可能だった個人や団体による申請を排除した。さらに、異議がある国は90日以内に申し立てを行うことができ、当事国間で合意できなければ登録しないことになった。

 政治的な思惑や一方的な主張に基づく申請や登録を防ぐうえで、大きな前進といえる。

 改革案を作成した作業部会を構成する32か国・地域には中国や韓国も入っている。両国は新制度の趣旨を踏まえ、政治利用を自制すべきである。

 慰安婦関連資料は新制度の対象ではないが、日本が異議を唱えている以上、ユネスコは手続きを棚上げにすることが望ましい。

 17年から中断している新規申請の受け付けは、年内に再開するという。政府は、制度が円滑に運用されるように、率先して取り組んでもらいたい。

 一方、日本が近隣諸国との近現代史に関わる文書を申請する場合は、異議が出ることがないように学術的に解釈の定まった資料を準備する必要がある。

 ユネスコはかねて、政治的偏向や放漫な運営を批判されてきた。米国のトランプ前政権は、脱退に踏み切っている。日本も16年の分担金支払いを一時保留し、改革への圧力をかけた。

 加盟国が強硬姿勢を取らなければ重い腰を上げない国連機関の悪弊を、どう改善するか。各機関の中枢に日本人を送り込むことは、政府の情報収集に寄与するだけでなく、組織の統治や透明性、中立性の向上にも役立つはずだ。

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1991206 0 社説 2021/04/17 05:00:00 2021/04/17 05:00:00

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