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処理水海洋放出 国際社会に安全性を訴えよ

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 東京電力福島第一原子力発電所に貯蔵されている処理水の放出は、国際的に認められた方法で行われる。対外発信を強化し、国際社会に妥当性を訴える必要がある。

 放出が決まった処理水は、福島第一原発の溶融燃料に触れた地下水を浄化処理したものだ。微量の放射性物質トリチウムが含まれており、現在、1000基のタンクに貯蔵されている。

 トリチウムは放出基準を大きく上回らない限り、環境や人体に影響は及ぼさない。海洋放出は現在、世界中の原発で行われている。

 国際原子力機関(IAEA)や日本の原子力規制委員会も認めている処分方法で、海洋放出の決定は妥当な判断である。

 大量の水の中にあるトリチウムを除去するのは技術的に困難だ。タンクが満杯になりつつあることも考慮すれば、これ以上、保管を続けるのは現実的ではない。

 ところが、中国は日本の決定に「強い不満」を表明した。韓国も「容認できない」と批判し、国際海洋法裁判所への提訴も示唆している。中韓両国ともトリチウムを含む水を海洋放出している。不合理な主張だというほかない。

 もともとトリチウムは自然界にも存在する物質で、放射線は弱い。さらに、政府は風評被害を懸念して、放出基準値の40分の1まで希釈して放出する計画だ。世界保健機関(WHO)の飲料水基準より低いレベルとなる。

 こうした点を無視し、いたずらに敵対的な感情をあおる言動には、日本政府は毅然きぜんと対応してほしい。中韓など15か国・地域は、処理水問題以前から日本の海産物の輸入規制を続けている。粘り強く撤廃を求めることが大切だ。

 トリチウムの性質や放出方法は、国内でも十分に理解されているとは言い難い。背景には原発事故の処理を巡る政府や東電への国民の不信があるのではないか。

 政府は、基準値内のトリチウムが海産物に影響しないことを内外に向け丁寧に説明しなければならない。それが国内での風評被害防止にもつながるだろう。英語での情報発信も強化し、国際世論に呼びかけてもらいたい。

 海洋放出を始めるのは2年後になる。作業の信頼性や透明性を高めるため、水質監視の仕組み作りに取り組むことも重要だ。

 監視には、東電や政府だけでなく、IAEAのほか、中国や韓国にも加わってもらったらどうだろう。幅広い角度から処理水の安全性を確認する体制を整えたい。

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2009120 0 社説 2021/04/25 05:00:00 2021/04/25 05:00:00

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