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憲法記念日 新たな時代へ課題を直視せよ

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◆緊急事態やデジタルも論点だ◆

 変化が大きい時代だからこそ、国家の基本である憲法に立ち返り、新たな課題に取り組んでいくことが大切である。幅広い観点から、国民的な議論を深めたい。

 74回目の憲法記念日を迎えた。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という基本原理は国民に根付き、戦後日本の礎となった。その理念を守り、後世に引き継ぐことは私たちの責務である。

 だが、憲法が制定以来、一切手を加えられていない現状は望ましい姿ではない。多くの国は時代の変化を踏まえ、条文を改めている。日本でも必要な課題があれば、改正を議論するのは当然だ。

現実との乖離ないか

 新たな感染症が蔓延まんえんし、国民の命や生活を脅かしている。隣国である中国は軍事大国化し、東シナ海などで緊張を高めている。情報通信技術が高度化し、人工知能(AI)が人間の仕事の一部を担うようにもなった。

 そんな時代が来るとは、憲法制定当時には想像も及ばなかったはずだ。そして、今後も変化し続ける日本社会や国際情勢に、70年以上前に制定された憲法が適切に対応するのは困難である。

 現実と憲法の間に乖離かいりが生じていないか。憲法改正を避けることを優先するだけでは、解釈に無理が生じ、「法の支配」が形骸化する恐れがある。

 憲法の条文を見直して改正案としてまとめ、国民に提案する責任は立法府にある。

 時代の変化を、国民も敏感に感じ取っている。憲法に関する読売新聞社の世論調査では、憲法を「改正する方がよい」と答えた割合が7ポイント増の56%に上昇した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態への認識が深まったことや、一方的な行動を続ける中国への警戒感があるのだろう。

 大災害や感染症拡大など緊急事態の対応については、59%が「憲法を改正して、政府の責務や権限に関する規定を条文で明記する」を支持した。「個別の法律で対応する」は37%にとどまった。

 現行憲法には、緊急事態に関する規定がない。非常時の議論を怠ってきたために、コロナ禍での政府の対応が後手に回ったと受け止められているのではないか。国民の意識変化も踏まえ、与野党は論点を整理しておく必要がある。

各党は具体案を明確に

 自民党が2018年にまとめた憲法改正の条文案は、議論の有力なたたき台となろう。

 その主眼は、自衛隊の根拠規定を憲法に明記し、一部に残る違憲論を払拭ふっしょくすることだ。現行の9条1項、2項を維持しつつ、自衛隊の保持を規定する条文を追加することを提案している。

 中国や北朝鮮が東アジアの平和と安定を脅かすなか、日本の安全保障を担う自衛隊の存在をはっきりと憲法に位置づける意義は大きい。自民党は改正の内容や狙いを十分に説明し、国民の理解を得る努力を続けなければならない。

 自民党案は、大災害の発生時に政府が国民の生命や財産を守るため、緊急政令を制定できるという規定や、国会議員の任期を延長できる特例を盛り込んでいる。

 私権を無原則に制限しないように、どのような歯止めを設けるべきか。また、感染症蔓延やテロを緊急事態の対象に加えるかといった課題もある。多角的に検討を重ねてもらいたい。

 国民民主党も昨年末、改正の論点整理を公表している。インターネット空間でも個人の尊厳が守られるよう、個人の尊重を規定する13条の改正を提唱した。

 デジタル技術は、家庭や教育をはじめ社会全般に浸透している。巨大IT企業は、国境を超えて膨大な個人情報を収集し、経済や言論活動にも国家権力に匹敵するほどの影響力を及ぼしている。

 憲法の観点から、規制の方向性を考える意味は小さくない。

審査会は本格討議を

 コロナ禍で浮き彫りになった国と自治体の連携不足や、衆参両院の役割分担と選挙制度のあり方など、検討課題は山積している。

 国会の憲法審査会で、論議が停滞しているのは残念だ。

 自民、公明両党と日本維新の会などが18年に提出した国民投票法改正案は、改正公職選挙法に合わせた内容であるにもかかわらず、立憲民主党などが採決に反対してきた。憲法そのものの討議を進める足かせとなっている。

 国の最高法規の論議を回避するようでは、立法府は責任を果たしているとは言えまい。与野党は、早期に改正案を成立させ、本格的な憲法論議に着手すべきだ。

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2027410 0 社説 2021/05/03 05:00:00 2021/05/03 05:00:00

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