読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

中国の対外発信 品位欠く中傷は逆効果になる

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 中国の当局者が他国を不当におとしめる発信を相次いで行っている。品位を欠いた振る舞いが国際社会の不信を高め、国益を損ねている現実を、中国は自覚すべきだ。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、葛飾北斎の浮世絵を模した画像をツイッターに投稿した。画像には、防護服姿の人物が液体を海に捨てる様子が描かれている。

 日本は国際原子力機関(IAEA)が認めた方法で放出する方針を決めている。科学的な根拠を示さず、扇動的な表現で不安を高める手法は容認できない。日本政府が削除を求めたのは当然だ。

 在日中国大使館のツイッターには、米国を「死に神」になぞらえた風刺画が現れた。米国が民主化を進めようとした中東の国々で流血の事態が起きているというメッセージを込めたつもりなのか。

 バイデン米大統領が中国の強権を批判し、民主主義の優位を強調したことへの意趣返しなのだろうが、「品がない」などの批判が書き込まれ、投稿は削除された。

 中国版ツイッターには、「中国の点火VSインドの点火」と題した投稿で、中国のロケット発射と、防護服姿で死者を火葬しているような写真が並んで掲載された。

 発信したのは、中国の治安維持に関わる共産党組織である。コロナ禍で多くの人命が失われている悲惨な状況を揶揄やゆの対象とする行為は、常軌を逸している。中国国内のユーザーからも非難を受け、削除されたという。

 一連の異様な発信の背景には、習近平国家主席の権力が一段と強まっていることがある。習氏の指示への絶対的な服従が求められ、当局者が保身のために強硬姿勢を競うようになり、歯止めがかからなくなっているのではないか。

 愛国主義が強い中国のネット世論も後押ししているのだろう。

 中国の国民はツイッターの利用を禁じられているが、当局にとっては対外宣伝の道具となっている。強引な海洋進出や不公正な貿易慣行などに関する国際社会の批判に対し、反論する手段として使っているからだ。

 日米欧の中国批判は、法の支配や自由などの普遍的な価値に基づいている。中国の悪意ある感情的な中傷とは根本的に異なる。

 来年は北京五輪が開かれる。中国は、平和の祭典を開催するのにふさわしい国と言えるのか。攻撃的な姿勢を続けるようでは、懐疑論の高まりは避けられまい。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2036612 0 社説 2021/05/08 05:00:00 2021/05/08 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)