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ロケット落下 中国の安全軽視は許されない

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 中国は宇宙開発を急速に進め、今や米国やロシアに肩を並べる存在になりつつある。しかし、開発に伴う責任を置き去りにしたまま、宇宙への進出を急ぐことは許されない。

 中国の大型ロケット「長征5号B」が制御されないまま大気圏に突入し、残骸がインド洋に落下した。人口密集地に落ちれば、市民を危険にさらすところだった。

 一般的なロケットの場合、1段目は噴射を終えると、予想した海域に落下する仕組みになっている。2段目は地球周回軌道に乗った後に落下し、小型のため大気圏内で燃え尽きるのが普通だ。

 長征ロケットは、これとは異なる構造で、主要部分が周回軌道に入った。その後、落下し始めたが、大型のため途中で燃え尽きず、破片がいつどこに落ちるかも不明なため、懸念が高まった。

 大気圏突入のタイミングや機体の状態が分からなければ、落下地点を予測するのは困難だ。中国は、軌道や機体に関する情報を十分に公開することが不可欠である。

 中国がこうした打ち上げ方法を採用するのは、ロケットを切り離す回数を減らすことで、失敗の可能性を少なくし、コストも安く済ませるためだろう。

 中国は2007年に人工衛星をミサイルで破壊する実験を行い、宇宙空間に大量のごみをばらまいて国際的な批判を浴びた。昨年も、アフリカ・コートジボワールの民家にロケットの残骸が落下する事故を起こしたと報じられた。

 安全軽視の姿勢は国際常識に反しており、改めるべきだ。

 今回、中国が打ち上げたのは、独自に建設する宇宙ステーションの施設の一部だった。日米欧露などが運営する国際宇宙ステーションに対抗して、22年頃までに完成させる予定だという。

 そのため、今後も急ピッチでロケットの打ち上げを繰り返すとみられ、再び残骸が落下する事態が起こる恐れがある。

 中国は近年、「宇宙強国」を目指している。無人機の月面着陸を成功させるなど、技術の発展はめざましい。ただ、国際社会の信用を損なってまで覇権を目指す姿勢は問題だと言わざるを得ない。

 宇宙開発には各国の民間企業も参入しており、今後も多数の人工衛星を打ち上げる計画だ。

 ロケットの残骸が他国に落下した場合の賠償責任などを定めた現行の国際条約は、内容が不十分で実効性に乏しい。国際的なルール作りが急務で、中国もその役割の一端を果たさねばならない。

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2042361 0 社説 2021/05/11 05:00:00 2021/05/11 05:00:00

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