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サイバー攻撃 基幹インフラをどう守るか

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 米国最大級のパイプラインが、サイバー攻撃を受けて操業を一時停止した。民間企業への攻撃に対し、政府が防護体制をどこまで構築できるか。日本にとっても重い課題だ。

 米南部の産油地帯と北東部間の約9000キロを結び、東海岸の燃料需要の45%を供給しているパイプラインが標的となった。

 パイプラインの運営会社が社内のコンピューターシステムのウイルス感染を検知し、被害拡大を防ぐため、流量や圧力を管理するシステムを約5日間遮断した。

 その後、操業を再開したが、正常化には至っていない。ガソリンは値上がりし、給油を待つ車列ができた。インフラ機能が喪失した場合、経済や社会が受ける打撃の大きさが示されたといえよう。

 米政府は、サイバー犯罪集団「ダークサイド」が関与したと断定した。標的の大企業にウイルスを侵入させてデータを暗号化し、復元と引き換えに身代金を要求する手口だ。窃取した情報をネットに公開すると脅すこともある。

 今回の事件で、運営会社は被害の詳細や身代金の支払いの有無を説明していない。すでに出回っているウイルスの感染を許したこと自体、対策の甘さは否めまい。設備の重要性に見合う防護体制を敷いていなかったのではないか。

 バイデン米大統領は、ダークサイドがロシアを拠点に活動している点を指摘し、ロシア政府にも一定の責任があると強調した。ロシアはサイバー攻撃への関与を否定しているが、犯罪摘発に後ろ向きのままでは、批判は免れない。

 パイプラインや発電所、送電網など、米国の基幹インフラの大半は、民間企業が運営している。管理・監視システムの省人化やデジタル化が進むほど、サイバー攻撃が付け入る隙は大きくなる。民間任せの防御には限界があろう。

 バイデン政権は、政府とインフラ事業者が被害情報を即座に共有し、企業に一定の安全水準を義務づける枠組みを検討している。国家の安全保障にかかわる重大事件だという認識の表れだ。

 被害に遭っていない企業も当事者意識を持って対応することが必要となる。日本でも同様の取り組みを推進すべきだ。

 国境をまたいだサイバー攻撃は悪質化し、被害は増加傾向にある。犯人を摘発し、処罰することが、最大の再発防止策だろう。

 先進7か国(G7)を中心に、犯行グループに関する情報交換を密にし、国際的な捜査協力を強化することが重要である。

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2050315 0 社説 2021/05/14 05:00:00 2021/05/14 05:00:00

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