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農業の環境戦略 有機栽培で脱炭素の後押しを

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 温室効果ガスを出さない脱炭素に向けては、農林水産業の取り組みも重要だ。食料の安定供給と産業の活性化にもつなげてもらいたい。

 農林水産省は、2050年までに農林水産分野で二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにし、あわせて農業の生産性向上を目指す中長期戦略をまとめた。

 化学的な農薬や肥料を使わない有機農業を広げるほか、農機具や漁船の電動化を進めるという。ビニールハウスの暖房には、石油の代わりに太陽光発電による電気などを活用していく方針だ。

 日本の温室効果ガスの排出量のうち、農林水産分野が占める割合は3・9%で、さほど大きくはないが、林業振興などを通じてCO2の吸収も期待できる。国全体の排出量実質ゼロ目標に、着実に貢献することが望まれる。

 地球温暖化は農作物の収穫量の減少や品質低下、漁獲量の落ち込みなど、農林水産業に深刻な打撃を及ぼす恐れがある。食料確保の面でも脱炭素戦略が不可欠だ。

 中長期戦略は、有機農業の促進を柱と位置づけた。通常の農業には農薬や肥料を使うが、その製造過程でCO2を出す化石燃料を利用している。戦略は50年までに化学農薬の使用量を半減させ、化学肥料は3割減らすとした。

 そのために、有機農業が農地面積に占める割合を18年度の0・5%から50年に25%に高め、面積を100万ヘクタールに増やすという。

 世界では、有機農業への転換が急速に進んでいる。欧州連合(EU)は有機農業の耕地面積の割合を、30年までに25%以上にする目標を掲げた。米国も農業分野の脱炭素を表明している。日本も世界の潮流に乗り遅れたくない。

 ただ、日本は欧州と違い農地が狭い上、雨が多く湿度が高いため、害虫に悩まされがちだ。政府は、気候の特性を踏まえた栽培方法の確立を後押しせねばならない。

 有機農業は人手がかかることから、コストが割高だ。しかも、後継者不足に悩む農家が多い。

 有機農業を拡大するには、国が先端技術を駆使した作業の省力化や自動化によるコストの削減を支援するべきである。同時に、重労働とみられやすい農業の現場を魅力ある職場に変革し、担い手となる若者の就労を促したい。

 消費者側には、農薬などを使って見栄えを良くした作物より、形は整っていなくても、有機栽培で作った野菜や果物などを積極的に購入するよう、呼びかけていく啓発活動が必要となろう。

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2116516 0 社説 2021/06/11 05:00:00 2021/06/11 02:07:04

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