東芝役員退任 混乱の収拾は容易ではない

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 真相を徹底究明し、責任の所在を明確にしなければ、企業統治の強化は果たせまい。

 東芝は、25日の定時株主総会に提案する取締役の選任案から、社外取締役の2人を外すと発表した。副社長と上席常務の執行役2人も退任するという。総会直前に経営幹部の人事案を修正するのは異例の事態だ。

 昨年7月の定時株主総会に関して、今月10日、「公正に運営されたものとはいえない」とする外部調査の報告書が公表された。

 報告書は、東芝と経済産業省が一体となって、海外ファンドに株主提案の取り下げや議決権行使の見送りを働きかけていたと指摘している。退任する4人は名指しで批判されていた。

 東芝の永山治取締役会議長は記者会見で、「企業統治や法令順守の意識が欠如していたと言わざるを得ない」と、当時の対応を陳謝した。人事案の変更により株主の追及をかわし、総会を乗り切りたいとの狙いがあるのだろう。

 2人の社外取締役は、監査委員として海外ファンドからの要求を受け、総会運営について独自調査を行い、2月に問題はないと結論付けていた。報告書はこれを疑問視しており、東芝側は再任に承認を得るのは難しいと判断した。

 永山氏ら残る11人の取締役全員の選任が認められるかどうかも不透明だ。永山氏は新たな取締役を迎え入れる考えで、株主の意見も反映するという。丁寧な説明で、混乱の収拾を図ってほしい。

 昨年の総会の運営については、改めて社外の第三者を加えて調査を行うとした。報告書の内容が事実かどうか、実態を十分に解明していく必要がある。その上で、成長に向けた戦略を立て、株主に正面から向き合うことが重要だ。

 一方、報告書は、東芝幹部と経産省の電子メールのやりとりから行政と民間の密着ぶりを問題視している。企業に改革を迫る「物言う株主」を排除する目的で、国が経営に介入していると、海外投資家に受け止められかねない。

 梶山経産相は、安全保障上の観点から外資の出資を点検した対応は適切だとし、報告書に対しては「事実関係に疑問を持たざるを得ない」と述べた。そうであれば、調査を尽くし、反論すべきだ。

 放送関連会社の外資規制違反を巡り、総務省に報告をしたとする会社側と、「記憶にない」と答えた総務省側の認識が食い違ったままで、行政への不信感は高まっている。経産省は説明責任を果たし、疑念を 払拭ふっしょく せねばならない。

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2126942 0 社説 2021/06/16 05:00:00 2021/06/16 05:00:00

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