通常国会閉幕 難局克服への議論が足りない

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 ワクチン接種で光明は見えてきたものの、難局を乗り越えたと言うには程遠い。政治に対する国民の不満に、与野党は真剣に向き合うべきだ。

 通常国会が閉幕した。2度にわたる緊急事態宣言の発令期間とほぼ重なり、新型コロナウイルス対策が主な論点となった。

 政府・与党は、コロナ対策を強化する新型インフルエンザ対策特別措置法を改正し、106兆円を超える2021年度予算を成立させた。病床の確保に努め、事業者支援を拡充するための態勢を整えたことは評価できよう。

 だが、緊急事態宣言発令や対策を巡る政府と自治体の対応は場当たり的で、私権制限や支援策に関する与野党間の議論は深まらなかった。長期的な医療提供体制の見直しや、新規ワクチンの早期承認に向けた検討も不十分だった。

 立憲民主党など野党4党が提出した菅内閣不信任決議案は否決された。立民の枝野代表は提出に消極的だったが、ほかの野党に促されて方針転換したという。

 総辞職か衆院解散を政権に求める不信任案を巡り、野党が迷走したのは緊張感を欠いた。コロナ禍での政治的パフォーマンスに国民は 辟易へきえき しているのではないか。

 一方、菅首相の答弁は歯切れが悪く、説得力に乏しかった。東京五輪・パラリンピックについて「安全、安心の大会を実現する」と繰り返すばかりで、具体的な安全確保策を明確にしなかった。

 国民に率直に語りかけ、理解を得ることが指導者の大切な役割である。首相はそれを肝に銘じ、丁寧な説明に努めてほしい。

 五輪開催時の感染抑止策や、外交・安全保障上の課題について、与野党は閉会中審査を積極的に活用して掘り下げてもらいたい。

 今国会では、与野党協調が実を結んだ場面もあった。

 児童生徒にわいせつ行為をした教員を教壇から追放するための新法は、政府が法制化を断念した後に、与党が検討を始め、野党の賛同を得て短期間で成立させた。機動的な対応が可能な議員立法の利点を生かしたと言える。

 大規模買収事件を起こした河井克行元法相夫妻を始め、不祥事による議員辞職が相次いだ。放送関連会社「東北新社」の外資規制違反問題でも、行政をゆがめた核心部分がうやむやのまま残った。

 国民の疑問に 真摯しんし に答えず、けじめを欠く対応を重ねていては、政治不信はさらに強まろう。政府・与党は、透明性の高い政権運営を心がけねばならない。

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2129750 0 社説 2021/06/17 05:00:00 2021/06/17 05:00:00

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