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沖縄慰霊の日 国と県は基地負担減へ対話を

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 広大な米軍基地の負担を着実に減らすことが重要だ。国と沖縄県は未来を見据え、建設的に協議を進めねばならない。

 太平洋戦争の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」の23日、沖縄全戦没者追悼式が糸満市で開かれた。住民を巻き込んだ戦闘の悲惨な歴史を胸に刻み、平和の大切さを再認識したい。

 日米両政府が1971年に沖縄返還協定に調印してから、今月17日で50年を迎えた。しかし、沖縄には依然として多数の基地が残り、日本にある米軍施設の約7割が集中している。

 県民は、事故の危険や騒音被害といった負担を強いられ、経済活動の足かせにもなっている。

 菅首相は、新型コロナウイルス感染対策のため追悼式にビデオで参加し、「基地負担の軽減に向け、一つ一つ結果を出していく決意だ」と語った。実現のためには、首相の指導力が不可欠である。

 米軍基地の整理、縮小を進める場合、この地域に力の空白を生じさせてはならない。中国は、尖閣諸島や台湾の周辺で威圧的な行動を活発化させている。抑止力の維持・強化を忘れてはいけない。

 政府はまず、人口が集中している沖縄本島中南部での返還計画の実現に全力を挙げるべきだ。

 宜野湾市の米軍普天間飛行場は、日米が96年に全面返還で合意してから、25年がたった。県政の事情にも左右され、いまだ返還が具体化していないのは残念だ。

 市街地の中心部から、周辺住民への影響が少ない本島北部の名護市辺野古に移設する現計画は、普天間の早期返還につながる唯一の解決策である。

 だが、国が申請した辺野古の軟弱地盤改良工事に関する設計変更に、県は応じない姿勢だ。国と県の対立がさらに深まれば、振興策などを巡る協力にも悪影響を及ぼしかねない。双方がもっと 真摯しんし に対話することが大切だ。

 これまでに、普天間に所属する輸送機オスプレイの訓練を山口県で行うなどの負担軽減が進んだ。全国の自治体は、訓練など基地機能の一部でも引き受けられないか、検討してもらいたい。

 県は今月、新たな沖縄振興計画の素案を発表した。本土復帰50年の来年度から10年間が対象だ。

 自然と調和した観光産業や製造業の強化、国際物流拠点の形成などを掲げている。全国最下位の県民所得の向上が望まれる。

 基地返還が実現した場合、跡地の有効活用も課題だ。自立的な経済発展に道筋をつけてほしい。

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2151213 0 社説 2021/06/24 05:00:00 2021/06/24 05:00:00

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