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夫婦同姓合憲 最高裁は議論を国会に委ねた

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 夫と妻が同じ姓を選ぶことを定めた夫婦同姓制度は、不合理とはいえない。そう結論づけた司法判断は妥当である。

 「婚姻に際し、夫婦が夫か妻の姓を名乗る」ことを義務づけた民法などの規定について、最高裁大法廷が合憲とする決定を出した。別姓を求める婚姻届を受理されなかった男女3組が2018年、不服を申し立てていた。

 憲法は、個人の尊厳と夫婦の平等を婚姻の基本としている。この点に関連して、大法廷は15年、民法の規定に「男女間の不平等が存在するわけではない」として合憲だという判断を示していた。

 今回の決定は、15年判決を踏襲したものと言える。前回判決から時間がさほど経過しておらず、判決を変更するほど社会情勢が変化していないと考えたのだろう。

 大法廷は、どのような制度が望ましいかという問題と、現在の制度が合憲か違憲かという問題は、次元が違うとも述べた。制度のあり方は「国会で論じられるべき事柄に他ならない」と指摘した。

 大法廷の裁判官15人のうち4人は、夫婦同姓の規定を違憲とした。現状では婚姻の際、妻が夫の姓に変わるケースが9割を超える。

 一方、仕事をする女性が増加し、国民の意識も変わりつつある。内閣府が17年に実施した調査では、夫婦が別々の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」を容認する割合が過去最高の42・5%に上った。

 女性が結婚を機に姓の変更を迫られる状況に、納得できない気持ちを持つ人がいるのは理解できる。ただ、夫婦が別々の姓になった場合、子供の姓をどうするのかといった問題も残る。

 国会は、広く国民の声に耳を傾け、夫婦の姓の問題はどうあるべきか、議論を深めてほしい。

 法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓の導入を答申した。これを受け、法務省は民法改正案を準備したが、自民党内に「別姓は家族の一体感を損ねる」といった反対論が根強く、国会への提出は見送られた経緯がある。

 自民党は今年4月、選択的夫婦別姓に関するワーキングチームを設置した。しかし、今回も推進派と慎重派の溝は埋まらず、論点整理案をまとめるにとどまった。

 現行制度と選択的夫婦別姓の利点と課題をそれぞれ洗い出し、国民的な議論につながるよう、慎重に検討してもらいたい。

 職場で旧姓の使用を認める企業は6割を超えている。議論と並行して、女性が働きやすい環境の整備を進めることも大切である。

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2151214 0 社説 2021/06/24 05:00:00 2021/06/24 05:00:00

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